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混戦のパに「最強の最下位」誕生か。
交流戦、CSがある限り勝率は上がる?
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/09/14 11:40

9月11日のロッテ戦に敗れ、9連敗となったオリックス。悪い流れを止めて、リーグを盛り上げることができるか。
巨人9連覇の1973年は戦力が均衡。
では、最下位チームの勝率上位10傑。
1973年 広島東洋カープ
130試60勝67敗3分 率.472
(別当薫)6.5差
1994年 横浜ベイスターズ
130試61勝69敗0分 率.469
(近藤昭仁)9.0差
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1975年 日本ハムファイターズ
130試55勝63敗12分 率.466
(中西太)6.5差
1998年 千葉ロッテマリーンズ
135試61勝71敗3分 率.462
(近藤昭仁)9.5差
1992年 中日ドラゴンズ
130試60勝70敗0分 率.462
(高木守道)9.0差
2008年 福岡ソフトバンクホークス
144試64勝77敗3分 率.454
(王貞治/秋山幸二)12.5差
1967年 近鉄バファローズ
132試59勝71敗2分 率.454
(小玉明利)16.0差
2013年 北海道日本ハムファイターズ
144試64勝78敗2分 率.451
(栗山英樹)18.5差
2007年 オリックスバファローズ
144試62勝77敗5分 率.446
(T・コリンズ)17.0差
2014年 東北楽天ゴールデンイーグルス
144試64勝80敗0分 率.444
(星野仙一→佐藤義則→大久保博元)17.0差
1973年はセ・リーグでは巨人が空前の9連覇を達成した年。戦力が均衡し、巨人、阪神、中日が1.5差の間で優勝を争った。首位から6.5差の最下位は1975年の日本ハムと並び史上最小ゲーム差。監督の別当薫は1000勝以上している監督では唯一優勝経験がないが、選手育成の手腕を高く評価された名将だ。別当はこの年限りで退任したが、広島は2年後の1975年に歓喜の初優勝を遂げるのだ。
運に恵まれなかった近藤昭仁。
この中に近藤昭仁の名前がチームを変えて2回出てくる。
戦力を見ると、1994年の横浜は543得点535失点、チーム得点2位、チーム打率も2位、1998年のロッテは581得点563失点、チーム打率1位、チーム防御率2位。
いずれも得失点差で黒字で、戦力も上位だ。この数字だけを見れば、なぜ最下位なのか首をひねらざるを得ない。大量点を取る試合がある一方で、僅少差で負けることが多かったのだ。バランスの悪いチームだったと言えよう。近藤昭仁は今年3月27日に物故したが、指導者としては運に恵まれていない印象がある。