甲子園の風BACK NUMBER
投手起用に疑問が残ったU-18W杯。
「世界一」より優先すべきこと。
posted2019/09/12 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO
9月8日まで韓国で開催されていたU-18ベースボールワールドカップで、初の世界一を目指した日本は5位で大会を終えた。
オープニングラウンドでは大会4連覇中だったアメリカに大勝したが、台湾に敗れて4勝1敗でスーパーラウンドに進んだ。スーパーラウンドでは初戦のカナダ戦に勝利したが、2戦目の韓国戦は、タイブレークの延長10回に4-5でサヨナラ負けを喫し、自力での決勝進出がなくなった。7日のオーストラリア戦も守備と打線が振るわず1-4で敗れ、5位が決定した。
韓国戦の延長10回、無死満塁の場面でマウンドに上がり、サヨナラの犠飛を打たれた池田陽佑(智弁和歌山)は試合後、「もう和歌山に帰れないです」とうつむいた。
しかし今大会は投手陣を責めることはできない。投手の奮闘が、苦しむチームを救い続けた。
今大会は9人の投手が登板したが、失点はほとんどが守備のミスが絡んでのもの。投手が打ち込まれたり、四球で自滅するといった場面はほとんどなく、日本の防御率は12チーム中トップの1.58だった。
見た目の投球数以上にブルペンが負担。
ただ、西純矢(創志学園)や飯塚脩人(習志野)といった一部の投手への負担が大きかった。投手陣の起用法には疑問が残る。
今大会は球数制限が設けられており、49球以下は連投が可能で、50~104球は中1日が必要。1試合の最多投球数は105球(対戦中の打者は対戦終了まで投球可能)とされており、105球に達した場合は中4日空けなければならなかった。
西は、オープニングラウンドのアメリカ戦で3回44球、台湾戦で1/3回2球、パナマ戦で6回96球と、3連投した。
台湾戦は雨天コールドにより5回で試合が終了したため、マウンドで投げたのは2球だったが、ブルペンでは何球も投げて準備しており負担は少なくない。しかも西は登板のない時も外野手として出場していた。