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八村塁の強気のメンタリティーこそ、
“挑戦者”日本バスケのラストピース。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/08/31 09:00
ドイツ戦では両軍最多の31得点をあげた八村。NBAサンダーでプレーする独PGのシュレーダーは「日本は手強かった」とコメント。
ラマスHCが求める「レジリエンス」。
思い出されるのは、W杯出場権を獲得したタイミングでラマスHCが強調していた「レジリエンス」というキーワードだ。「(病気や苦難などから)回復する力」という意味を持つ言葉について、出場権を手にした夜にこう話していた。
「いつも勝てるとは誰も保証してくれません。そんなのはファンタジーです。忍耐力を持って、我慢して、チームを新たな方向にむかせる。高いレベルのスポーツではやはり、『レジリエンス』が絶対に必要なのです」
ラマスはしばしば、「できない約束はしたくない」とか、「嘘はつきたくない」と口にしてきた。そんな指揮官に、この3連戦でいずれも10点以上リードされながら、逆転したり、追いつけたことの意義を問うと、こう返ってきた。
「私はこれまでのキャリアで色々なチームを見てきましたが、すべての試合に勝てると思ったら大間違いですし、負ける方が多いチームもあります。ただ、そういった状況でも、『レジリエンス』をもって、我慢をして、次の試合は勝つと信じてやり続けないといけない。それがすごく大事なことなのです」
格上との対戦となるW杯。
中国W杯における日本のグループリーグの日程と対戦チームのFIBAランキングは以下の通りだ。
9月1日トルコ 17位
9月3日チェコ 24位
9月5日アメリカ 1位
だから、ラマスはこう話す。
「現実をしっかりみて、簡単な試合が1つもないということはしっかり認識して臨みたいと思います」
チームをコントロールする立場のPG・篠山もアルゼンチンに敗れたあとに、謙虚にこう話していた。
「『僕らみたいなチャレンジャーのチームが気を抜いたらやられるよね』ということを今日は実感させてもらいました。僕らはチャレンジャーだっていうところを、もう一度、痛感できた感覚があります」
チームが同じ方向をむいて、不利な状況でもあきらめずに戦っていく。それこそがW杯に挑む日本にとって大切なことである。だから、あきらめず、我慢をしながら互角の戦いに引き戻せた3試合の経験は必ず生きてくる。