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凡戦でも錦織圭の攻めは魅力的だ。
教科書に載せたい手堅さ、力強さ。
posted2019/08/29 11:50
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Hiromasa Mano
全米オープン2回戦、錦織圭は世界ランキング108位のブラッドリー・クラーン(米国)の攻撃的なテニスに手こずったが、4セットでなんとか振り切った。
クラーンに手こずったというより、ひとり相撲のような展開で試合を難しくしてしまった、と書くべきなのかもしれない。そう受け取った向きには、見ていてモヤモヤの残る試合となったことだろう。
錦織のもたつきぶりは、スコアカードとスタッツに分かりやすい形で示されている。
第2セットはブレークで先行しながら4−3からブレークバックを許し、そのままずるずると後退、セットを落とした。立て直して第4セットは5−1まで離したのに、第2セット同様、続けてサービスゲームを落とし、最後は7−5でなんとか逃げ切った。どちらのセットも相手に4ゲーム連取を許した。
ファーストサーブの成功率は50%と低調で、ファーストサーブ時のポイント獲得率も、失った第2セットには53%まで落ちた。
「嫌な時間帯というか場面はあった」
ただ、「ひとり相撲」と断ずるのは酷だ。第2セット以降、クラーンのアグレッシブなプレーが得点につながるようになった。セカンドサーブでライン際を狙うなど、一か八かのプレーは多少なりとも重圧になっただろう。
錦織は「嫌な時間帯というか場面はあった。アグレッシブにプレーされて、リスキーなプレーが入ってくる時は嫌だった」と振り返る。クラーンの調子が第1セットのままだったら1時間半で終わっていた試合だ。だが、相手の踏ん張りが試合をもつれさせた最大の要因ではあった。