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履正社を強くした奥川恭伸の衝撃。
春は17三振、夏決勝で運命の再会。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/08/21 20:00
準決勝、履正社は2年生の岩崎峻典が好投。エース清水大成は中3日の休養を経て、決勝のマウンドに立つ予定だ。
「対応力が上がってきている」(桃谷)
3回戦と準々決勝では試合巧者の高岡商、関東一に勝ち切ると、準決勝ではプロも注目する右腕、152キロを投げる明石商の2年生・中森俊介と対戦した。
その中森からも、桃谷の先頭打者三塁打を導火線として、初回に一気に4点を先取。そのまま危なげなく勝ちきった。
「センバツで奥川くんと対戦した時に、自分たちの力の無さがわかって、もっと努力しないとダメだなと意識が変わりました。今大会は1回戦からいい投手と当たって、結果も出ている。対応力が上がってきている自信はあります」
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桃谷は、確かな手応えを口にしている。
そして決勝戦の相手は、星稜・奥川恭伸である。夢にまで見た状況、と言ってもいいだろう。
甲子園に導かれる運命的な対戦。
甲子園では時として「運命」としか言いようがない対戦が実現する。
近いところで言えば、2012年に大阪桐蔭と光星学院(現・八戸学院光星)が春夏連続して決勝で対戦することがあった。
実はメディアの間でも、大会前に冗談も混じえてそんな話題になることがある。
「星稜vs.明徳義塾」もその1つだ。
松井秀喜の5打席連続敬遠から27年。もはや両者の対決に遺恨が残っているわけではないが、星稜の当時のメンバーで、現在は指揮官となった林和成監督も「尊敬する馬淵さんと対戦してみたい気持ちはある」と口にしていた。今大会では実現しなかったが、今後も星稜と明徳義塾が同時出場している限り話題になり続けるだろう。
東北勢初の優勝が期待された仙台育英には、東海大相模に敗れた2015年夏の決勝戦のリベンジという思いがあっただろう。当時とは監督も野球スタイルも異なっているが、勝ち上がっていけば当然、意識していたはずだ。