マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
奥川恭伸以外もぜひ覚えておきたい、
非エリートから選ぶ「私だけの逸材」。
posted2019/08/21 12:10
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
次の「100回」のスタートとなる「第101回全国高校野球選手権大会」も、いよいよ大詰めを迎えた。
始まる前、2週間は長いなぁ……と思うのだが、始まってみると、あっという間に日にちが経ってしまうのが「甲子園」。というのも物の常なのだが、なんのせいだか、今年は常にも増してまたたく間だったように思う。
全国各地の激戦を勝ち抜いてきたチームばかりだから、選手たちだって、もちろん好選手ぞろい。ちょっとやそっとの“腕利き”には驚かないのだが、それでも、思わずオオッ! と驚きの声を上げてしまう「逸材」が必ず何人か現れるのがこたえられない。
逸材といっても、たとえば今年なら、星稜・奥川恭伸(投手・3年)や明石商・中森俊介(投手・2年)のような誰もが知る「エリート系」ではない。
私だけの感性のアンテナにひっかかって、いたく驚かせてくれた「私だけの逸材」をお伝えしたい。
ふたケタ背番号投手に驚かされた。
ここ数年、夏の甲子園の“野球”が変わりつつある。
以前は、たいていのチームには甲子園出場の原動力となった「絶対的エース」が君臨していて、彼らががっぷり四つに組み合って、互いに一歩も退かず……そんな試合展開が多かった。しかし昨今は、はっきり「打高投低」、打ち合いを制することのできないチームは勝ち上がれない。そんな傾向が明確になってきた。
いきおい、各チームとも複数の投手を育成して、継投で試合を進めようとする。
リリーフでマウンドに上がる“ふたケタ背番号”の投手の中に「こんなピッチャー、いたんだ!」と思わず声を上げてしまった快腕が何人かいた。