甲子園の風BACK NUMBER
甲子園以外の球場が使われた甲子園。
堀内恒夫は3回戦まで全て西宮球場。
posted2019/08/21 07:00
text by
田澤健一郎Kenichiro Tazawa
photograph by
Hideki Sugiyama
夏の甲子園もいよいよ終盤戦。クライマックスの熱戦を楽しみにしているファンも多いだろう。
一方で近年の高校野球は、猛暑化する日本の夏の影響もあいまって、球数問題や過密日程など、選手・チームのコンディションや環境、大会システムを巡る議論も盛んになっている。
球数問題などは公式戦での投手起用に関していえば、過密日程が問題の場合、大会日程やスケジュールを見直せば解決できる。ただ、限りのある球場の使用については、プロから小学生まで、他のカテゴリーの試合や大会との調整が必要だ。
また、高校野球が学校の部活動である以上、テストなどの学校行事や全国大会を開催できる長期休暇との兼ね合いもあり、そう簡単にはいかない。
夏の甲子園に関しても、今大会は準々決勝から決勝まで中1日の休養日を設けるなど、日程緩和の努力はしている。それでも3回戦と準々決勝の間には連戦が生まれ、休養日も中1日。ないよりはいいが、完投した投手の疲労回復には心許ないというのが正直な印象である。
だが、「全試合甲子園球場を使用」「夏休み中の開催」「代表校数(試合数)」といった点が変わらない限り、日程の大幅緩和は無理だろう。
根強い「甲子園以外の球場」という説。
だからだろう、近年は毎年のように「甲子園以外の球場を使用すればよいのでないか」という意見が出てくる。
たしかに、たとえば「甲子園使用は開幕日と準決勝以降のみ・その他は複数球場を使用」とすれば日程は劇的に緩和される。
もちろん、近畿圏に現在の夏の甲子園レベルの観客動員に対応できる球場がどれほどあるか、ドーム球場を一部使用する場合、コンディション差が出てきてもいいのか、運営・警備体制など複数球場開催が可能か、など課題はある。
何より高校野球の強大な求心力、人気の象徴として神格化されているといっても過言ではない「聖地」甲子園で試合ができるチームが限られてしまう点にアレルギーを感じる人も多いだろう。それが高校野球人気、野球人気の低下につながりかねない、という意見も、おそらく出てくる。