話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
トライアウト→J2琉球→セレッソ。
鈴木孝司の人生が変わった半年間。
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佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/20 19:30
![トライアウト→J2琉球→セレッソ。鈴木孝司の人生が変わった半年間。<Number Web> photograph by J.LEAGUE](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/2/7/700/img_2753e8e935972a2b8b810da2c1d7e3f4148567.jpg)
セレッソには柿谷やメンデスらアタッカーが豊富に揃っている。その陣容の中で鈴木孝司は成り上がることはできるか。
ロティーナ監督の求めるピースに。
また攻撃だけではなく、チームとして要求されている守備もしっかりこなしていた。「奥埜選手がすごく走っていたし、みんなも頑張っていた。これが勝つチームなんだなと思った」と、ピッチに入ってから味方の献身的な動きに刺激を受けたようだが、琉球時代も前線からしっかりと守備をしていた選手である。
上手さとハードワーク、泥臭さを兼ね備えたプレーは、ロティーナ監督の求めるところ。それは水沼宏太、藤田直之、奥埜らレギュラーとして起用されている選手たちを見ても容易に理解できる。
初めてJ1のピッチを経験して、「スピード感が違うし、強度も違う」と、J2との差も感じた。自らのプレーにおいても「相手がハイプレスだったので裏を狙いたかった」と、もう少し冷静に状況を見てプレーすることを課題として挙げた。
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そしてセレッソは2トップなので、1トップだった琉球の時のように全員が鈴木を見て、ボールを出してくれるわけではない。自分がボールを引き出す動きを見せ、パートナーとのコンビネーションで打開していくところも探っていかないといけない。
ただ、これらは時間を経て慣れていく部分だろう。
むしろ味方の良さを引き出し、自分の特徴を引き出してもらうことで、攻撃の相乗効果を上げていける。ロティーナ監督は「メンデスとも共存できる」と語っており、今後は鈴木のスタメンも増えてくるだろう。
琉球には「感謝しかないです」。
琉球に対して鈴木は「すごく濃い半年でした。感謝しかないです」と語っている。試合後、今年3月に琉球からF・マリノスに移籍した中川風希と一緒に写真を撮っていたが、「素晴らしいことですし、琉球のサッカーが評価されたということ」とも笑顔を見せた。
トライアウトからチャンスを得て、J2昇格組の琉球でセンターFWとして起用される。その半年後にはセレッソに移籍し、30歳でJ1デビューを果たした。
夢のある話だと思う。
若い選手がこぞって海外に出ていく中、J2で結果を出して、J1のクラブへの移籍を実現していく。30歳という年齢に関係なく、結果で評価され、自分の夢を掴むことができた。鈴木のステップアップは、「次は俺も」と他の選手の大きな刺激になるだろう。