スポーツ百珍BACK NUMBER
愛すべき貴公子トーレスの名ゴール。
イニエスタ、ビジャとラストダンス。
posted2019/08/21 11:30
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Getty Images
フェルナンド・トーレスほど「記憶に残る」タイプの点取り屋は、そうそういないと思う。
金髪の長髪で、そばかすもキュートに感じるイケメンぶり。その俊足で相手最終ライン裏に抜け出し、ジェラードやシャビ・アロンソのパス1発からゴールを仕留める。そんな鮮烈さの一方で、ゴールの女神から見放され、哀愁を漂わせる時期もあった。
点を獲ればヒーロー、獲れなければ戦犯扱い。ストライカーの宿命を、これほどまでに体現したワールドクラスもいないのではないか。
そんなトーレスが今シーズン途中での引退を決断した。
トーレスが愛された理由。
Jリーグを戦いの場に選んだのは2018年夏のこと。サガン鳥栖ではケガの影響などもあって2018シーズンはリーグ戦17試合3ゴール、2019シーズンは16試合2ゴール。本人も引退会見で「自分のベストなレベルに達していないのではないか」と話しており、35歳での幕引きを決断したのだろう。
それでも「ベストなレベル」のトーレスは本当に凄かった。
実績を見てもスペイン代表通算38得点は歴代3位。リーガとプレミアという世界最高峰リーグで2ケタ得点をコンスタントに獲っていたのだから、超一流のストライカーだったのは間違いない。
でもトーレスが多くのサッカーファンに愛されたのは、ゴール数以上に「そんな体勢で叩き込めるの?」「このタイミングで決めちゃうの!?」といった感じで、やたらインパクトに残るゴラッソが多かったからだと思う。
引退が迫るこのタイミングで、アトレティコ・マドリーやスペイン代表、リバプール、チェルシーで決めたスーパーゴールをいくつか思い出してみよう。