話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
トライアウト→J2琉球→セレッソ。
鈴木孝司の人生が変わった半年間。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/20 19:30
セレッソには柿谷やメンデスらアタッカーが豊富に揃っている。その陣容の中で鈴木孝司は成り上がることはできるか。
琉球のスタイルがフィットした理由。
だが、2016年シーズン中盤にアキレス腱のケガで戦線を離脱。'17年8月に復帰したがチームはカウンター主体に変化し、出場機会を失った。'18年は30試合出場5得点を挙げたもののそのまま契約満了となり、7年間在籍した町田を去ることになった。
そのシーズンの暮れ、トライアウトに参加し、琉球への移籍を決めたのである。
琉球は、J3で70得点を挙げた攻撃的サッカーでJ2に昇格してきた。パス主体で連動して崩していくスタイルは、まさに鈴木が求めていたものだった。
その琉球に鈴木のプレースタイルがフィットし、2019シーズンにブレイクを果たす。J2のシーズン途中の成績とはいえ、27試合15得点は、あっぱれな結果だ。
それを実現したのは、選手の特徴を素早く把握する“眼”にある。
「選手の特徴を把握し、動きを合わせるのが早い」
鈴木はこう話している。もともと中盤の選手だったこともあり、選手のどんな特徴を持っているのかをいち早く理解し、把握するのに長けていた。その意識が早く、上手く使えれば自分のためにも、チームのためにもなる。それは今も磨かれている。
加入5日目でも高い適応能力を発揮。
実際、この日の試合はセレッソに加入してまだ5日目だった。それでも2トップを組んだ奥埜博亮について「自分がいい動き出しをすれば中盤らしい決定的なパスが出てくるので、すごくやりやすい」と相棒のプレースタイルを把握し、さらなる向上に手応えを感じている。FWとして「基本的に誰と組んでもすぐにうまくやれる」と言うように、パートナーを選ばない柔軟性と適応性があるのだ。
そしてストライカーとして一番必要な、得点感覚の鋭さもある。
「そこに行けばゴールが入るな、っていうのがなんとなくわかるんです。いいタイミングで動くこと。シュートブロックされることが少ないんで、相手のタイミングを外して打つのは得意だと思います」
マリノス戦はシュート1本を放ったが、そのシーンでは相手に詰められることもなく、ほぼフリーの状況を作った。「ここに行けば」という絶対的な感覚を持っているのは、FWとして大切なことである。
鈴木のゴールパターンは豊富なのは、その感覚が働いているからこそだ