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高校テニスの酷暑は甲子園以上?
多数の救急搬送、日程改善は必須。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byKyodo News

posted2019/08/19 11:55

高校テニスの酷暑は甲子園以上?多数の救急搬送、日程改善は必須。<Number Web> photograph by Kyodo News

テニスは屋外での俊敏な動きが求め続けられる競技だ。猛暑での環境下でのプレーはより慎重に考えてほしい。

国内トップの多くは参戦していない。

 昔の猛者たちの中には、現代の高校生たちが昔に比べてひ弱になったのだと言う人もいる。「ウチは鍛えてますから大丈夫です」と豪語する監督もいる。

 しかし、夏の暑さが30年前や40年前よりもひどいことは確かだし、実力の地域格差や学校格差がなくなってきたため、早いラウンドから接戦を強いられる厳しさも頻繁に耳にする。

 だとしても、日本一をそんなにあっさり決めてしまってもいいのか――これが3セット制廃止に眉をひそめる人たちの多くの言い分だ。

 最近のテニスの場合、高校生の日本一を決めるといっても、本当の意味でのこの世代の国内トップクラスの多くはインターハイを戦っていない。

 過去のチャンピオンの中には伊達公子や松岡修造、杉山愛など錚々たる名前があるが、今の日本のトップクラスを見れば、大坂なおみはもちろんのこと、錦織圭や西岡良仁、ダニエル太郎などはインターハイとまったく無関係だ。

 それゆえ、<高校生日本一>という称号をこれ以上軽くしてはならないという意味合いもあるのかもしれない。

なぜ余裕を持った日程にできない?

 ならばもっと余裕を持った日程にすればいいのだが、それが現状ではできない。 

 毎年、インターハイの直後には大阪で全日本ジュニアが開催される。日本テニス協会主催だが、インターハイよりもこちらを重視する選手も少なくない重要な大会だ。

 18歳以下、16歳以下、14歳以下、12歳以下と年代別に分かれているが、うちインターハイの出場者と重なる16歳以下と18歳以下の部が開幕したのは、それぞれ9日と10日だった。インターハイの最終日は8日で、両方に出場する選手たちは表彰式後に宮崎から大阪へ直行した。

 あまりの過密スケジュールに、過去にはインターハイで三冠を獲った選手が両脚けいれんで倒れたこともある。今年もそういった事態が懸念されたが、こちらも対策に踏み切った。

 インターハイと違って原則として1日に単複それぞれ1ラウンドしか進まないこともあり、これまでは全試合3セットマッチで行なわれてきたが、今年は最終セットの代わりに10ポイント・マッチタイブレークを採用した。

【次ページ】 東京五輪を再考のきっかけに。

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伊達公子
杉山愛
松岡修造
ダニエル太郎

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