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高校テニスの酷暑は甲子園以上?
多数の救急搬送、日程改善は必須。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byKyodo News
posted2019/08/19 11:55
テニスは屋外での俊敏な動きが求め続けられる競技だ。猛暑での環境下でのプレーはより慎重に考えてほしい。
3セットマッチではない方式に。
台風の影響もあったとはいえ、本来3セットマッチで行なうはずの準決勝と決勝を1~3回戦と同様に8ゲームプロセットに変更。前日まで試合と試合の間隔は最短で40分だったが、試合時間にかかわらず1時間半の休憩をとることにもなった。
個人戦に関しても、従来は4回戦まで8ゲームプロセット、準々決勝から3セットで行なっていたものを、準々決勝までを1セットマッチ(6-6タイブレーク)、準決勝と決勝を8ゲームプロセットで行なうことにした。
これまで長年に渡り、猛暑の中でのインターハイの戦い方が問題視されながら思い切った改善がなされなかったことを思えば、この対応は驚くほど早く、そして大胆なものだった。
最大の決め手は消防局からの強い警告であり、「このまま続ければ死人が出ますよ」「中止とも考えていいのではないですか」とまで言われたというから、やむを得なかったのだ。
高体連部長が説明した変更の意味。
全国高体連テニス専門部の石原弘也部長は、今回の変更についてこう説明する。
「大会をこの日程の中でおさめるという、どうすることもできない条件の中で、生徒の安全を第一に考えました。高校生の日本一を決める大会としての格や伝統は守らなくてはなりませんが、どこで折り合いをつけるのかを今後も考えていかなくてはいけない」
その後も救急搬送者は皆無ではなかったが、悪夢の2日目とは比べものにならなかった。そして、やり方を変えたせいだと言いきれるような番狂わせもなかった。
伝統を頑なに守れば時代遅れといわれ、時代や世の中の風潮に合わせれば本来の良さが失われると嘆かれる昨今。「どこで折り合いをつけるのか」は難しい問題だが、あらためて今後のやり方を考えていく上で、生きた材料を提供することにもなった今回の判断は正しかったのではないかと思う。