オリンピックへの道BACK NUMBER
バドミントン、園田・嘉村ペア。
超低空・高速ラリーで世界を狙う。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2019/07/28 11:30
世界ランク3位の園田(左)・嘉村ペア。世界ランク16位以内に日本勢は3組と代表の2枠を巡って高レベルな争いとなっている。
一度は競技から離れることも考えた。
だが、挫折を味わう。
当時、男子ダブルスは早川賢一、遠藤大由組が日本のエースとして存在していた。園田と嘉村は2番手として追う立場にあった。オリンピックには、世界ランキング8位以内であれば、1カ国から2組出られるから、むろん、日本で2番手であったとしても、出場することはできた。でも、世界ランキングは伸び悩み、結果、リオ五輪は早川、遠藤組だけが出場することになった。
出場を逃したあと、一度は競技から離れることも考えたという。それでも気を取り直し、自分たちに何が足りないかを考えた。そして、スピードのあるラリーばかりではミスも冒しがちなことに気づき、より確実性を心がけるようになった。プレースタイルを見つめなおしたことが、進化の一端となった。
リオ五輪のあと、早川、遠藤組は早川が代表から退いたことでペアを解消。自動的に、園田と嘉村が日本のエースの立場に繰り上がることになった。それに甘んじることがなかったのは、目標と見定めていた2020年の東京五輪とともに、「男子ももっと見てほしい」という思いだった。以前、こう語っていたのを記憶する。
世界一も手が届くところに。
「女子に注目されますが、結果を残していけば、男子も観てもらえると思います」(嘉村)
オリンピックで好成績を残してきたこともあって、どうしても、日本バドミントン界では女子が脚光を浴びる機会が多かった。男子シングルスの桃田賢斗の活躍により、そうした状況にも徐々に変化は訪れたが、女子ばかりが注目される状態を覆したいという意欲もまた、2人の成長を支えてきた。
現在は世界ランク3位と、世界一も決して手が届かないわけではないところまでやってきた。胸に抱いてきた大舞台は1年後に近づいている。そこであっと言わせることができるか……。まずは、代表選考にかかわる世界大会を勝ち抜くことが大切だ。8月中・下旬には、世界選手権が控えている。
一歩一歩進んだ先に、集大成となる大会が待っている。