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世界水泳のトラブル対応で見えた、
入江陵介が長年トップで戦える理由。
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph byAFLO
posted2019/07/24 08:00
スタート器具につかまる入江陵介。長年トップで戦ってきた選手にとっては、今回の騒ぎは1つの要素でしかないのだろう。
女子のレースでも起きた不具合。
不具合があったのは、ザッビオーニだけではなかった。男子の前に行われた女子の予選でも同じように緩むことを指摘する場面があった。さらにトリニダードトバゴのディラン・カーターもザッビオーニと同様のトラブルに遭い、レースをやり直した。
結果として、やり直した2人が予選を通過するタイムで泳いでしまったため、16位までが進める準決勝を18人で行うという対応策がとられた。
夜の準決勝前、チームには『Back Stroke Ledges will NOT be in use in the finals tonight.』と書かれた紙が配られた。バックストロークレッジは今夜のレースでは使わないという通告だ。
それに反応した各国のコーチたちが抗議を行い、結果的にバックストロークレッジが使われることになったが、これ以上ベルトが伸びないという状態にしておき、スタート台のバックプレートに固定した状態で使用する、という対応だった。つまり、バーの高さは固定された状態になったわけだ。
「みんな条件は一緒ですから」
当然、日本代表の入江陵介もそのトラブルの渦中にいた。予選の6組目を泳いだ入江は、「(レッジを)引っ張らないように」と声をかけられたという。
しかし、入江は幸いにも不具合に遭うことはなく予選も準決勝もスタートでき、6位で決勝進出を決めた。その入江は、次のようなコメントを残している。
「さすがに予選が終わった直後は、選手間でも、あれはちょっとないよね? という会話はありました。ただ、準決勝の前にはオフィシャルにアナウンスがありましたし、使えないならバックストロークレッジはなくてもいいやって思っていました。みんな条件は一緒ですから。気にしててもしょうがないので」
同様に、女子100m背泳ぎを8位で決勝に進んだ酒井夏海も「(レッジについては)特に気にしていません」と話した。