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安西幸輝が1年半で得た野心と愛情。
「鹿島のこと好きになっちゃった」 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2019/07/10 18:00

安西幸輝が1年半で得た野心と愛情。「鹿島のこと好きになっちゃった」<Number Web> photograph by Getty Images

安西幸輝は鹿島を背負ってポルトガルに飛ぶ。内田篤人のように、いつか故郷に錦を飾るために。

海外移籍が増え、鹿島も変化の途上にある。

 そんな安西が常に憧れの選手としてその名をあげていた内田篤人からは「行け。行って苦労して来い」と言われた。そして「CLに出てベスト4にまでいったら、俺が認めてやる」とも。

「篤人くんは『行った人にしかわからないことがある』といつも言っている。だから、一番の目標はCLベスト4だった篤人くん。篤人くんを越えたいとずっと思っているし、篤人くんと同じ景色を見たい。見ないといけない。

 確かにドイツ1部のシャルケと比べたら最初のチームは相当差がありますし、まあ、(CLベスト4までは)相当厳しい戦いになると思います。でも、そこまで行けるように努力したい。

 僕自身J2で4年やって、J1では1年半しかやっていないけれど、ここまでこれた。だからこそ、篤人くんを超えることを目指さないといけないと思っています」

 新卒選手を獲得し、戦力に育てるという長年鹿島が掲げてきたチーム強化スタイルは、20代半ばで海外に移籍する選手が増えたことで、形を変えてきている。

 他クラブからの獲得選手で「戦力補強」を想定した編成を組むようになった。そして鹿島で活躍できる選手は、貪欲で野心家だ。その欲を刺激し、成長させる環境が鹿島にはある。その結果として選手が代表に選ばれ、海外のクラブから注目を集め、移籍していく。そのサイクルが速くなっても、タイトル獲得というクラブの方針は変わらない。

「ギラギラした選手がいっぱいいるから大丈夫」

 移籍に反対することは簡単だが、一度きりの選手人生の可能性を摘むことになるし、選手のモチベーション低下がチームに悪影響を及ぼすことにもなりかねない。一時的に戦力が低下したとしても、スタメンを競う選手たちに強い覚悟が生まれ、選手の成長スピードも上がる。

 柴崎岳が移籍したのちに台頭したのが三竿健斗だった。大迫勇也や金崎夢生のあとは鈴木優磨が伸びた。植田直通や昌子源のポジションに入った犬飼智也や町田浩樹は成長の過程にある。

 6月、負傷した安西に代わり出場したのが、1996年生まれで流通経済大学からシント・トロイデンへ加入した小池裕太だった。今季、レンタル移籍で獲得した。

「鹿島にはギラギラした選手がいっぱいいるから、僕は大丈夫かなと思っています」

 安西はそう話す。

 鹿島で活躍し、代表へ、そして海外へ。選手たちが秘める野心の大きさがチーム強化に繋がる。そんな環境を鹿島は作り続けなければならない。

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