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勝負弱いFC東京を変えたケンタ語録。
飾らず本音な長谷川監督の接し方。
posted2019/07/09 17:30
text by
馬場康平Kohei Baba
photograph by
Getty Images
勝つことには理由がある。長谷川健太は、それを知る監督だ。
ガンバ大阪時代の2014年に、史上2人目の国内主要3タイトルを全て制した指揮官となった。その理由を「あのときは追い風が吹いた」と口にした。相手あっての勝負事だからこそ、運もその1つだったのかもしれない。
ただし、その一押しも享受する場所にいなければ、つかみ取ることなんてできなかった。それまでの地道な歩みがあってこそ、最後に笑えたのだろう。
その指揮官が就任して2年目となるFC東京は、今季J1リーグで開幕12戦無敗のスタートダッシュを飾り、第18節終了時点で首位をひた走っている。「勝負弱い」「万年中位」が代名詞だったクラブの快進撃に、周囲はいずれ失速するだろうと高をくくっているのではないか。
ハイテンポな攻撃と堅い守備。
だが、内実はどうなのか――。
まずは、就任1年目で「自分が監督をすれば、どういうサッカーになるかは多くの方が理解していると思う」と語る健太流を確立した。ディエゴ・オリヴェイラと、永井謙佑のスピードを生かしたハイテンポな攻撃と、前線からのハイプレスや、中央をしっかりと閉じる堅い守備は、このチームを形容する決まり文句となった。
今季は18試合を消化してわずか3敗で、2連敗で迎えた第17節は、2位の横浜F・マリノスとの首位攻防戦を4-2で制し、クラブ史上初めてトップで後半戦へと折り返した(「大事なところで勝てないと嘆息し続けてきた、あのクラブが」と思ってしまうのは、長くこのクラブを取材し続けたせいだろうか)。