フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ISUが審判の倫理規定に大鉈!
北京冬季五輪のフィギュアにも影響。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byISU via Getty Images
posted2019/07/08 11:15
2002年のソルトレイクシティ五輪の採点疑惑などを契機に、昔からフィギュアスケートの採点方法は改善を重ねてきてはいるのだが……。
ソチオリンピック女子での疑惑について。
2014年ソチオリンピックでは、女子の技術パネルの顔ぶれが疑問視されていた。
周知のように、ソチではロシアのアデリナ・ソトニコワが韓国のキム・ヨナ、イタリアのカロリーナ・コストナーを押さえてサプライズの金メダルを獲得した。この結果に韓国からは抗議の声が上がり、スケート関係者たちの間では3位だったコストナーが金に相応しかったという意見も少なからずあった。
技術パネルに入っていたのは、ロシアのアレクサンドル・ルケルニックがコントローラー、スペシャリストがフランスのヴァネッサ・グスメロリ、アシスタントスペシャリストがフィンランドのオルガ・バラノワだった。
だが名前からもわかるように、バラノワはロシアから帰化した元ロシア人。技術パネルの3人は、それぞれ違う国籍でなければならないというルールは当時もあったのだが、実際には技術パネル3人中2人がロシア人だった。技術パネルチームが3人ということには意味があり、スペシャリストとアシスタントスペシャリストの意見が割れた場合、コントローラーが投票して最終決定をする。
技術パネルでフェアな判定ができていたのか!?
ソトニコワはSP、フリーとも勢いのある大きなミスのない演技だった。
だが直前の欧州選手権までは回転不足や不正エッジの判定を与えられていたソトニコワが、ソチオリンピックのときだけ全く減点を取られなかったことに疑問を投げかける関係者は少なくない。
ロシア人が2人入っていたあの技術パネルで、フェアな判定が行われていたのか――。
そのことを証言できるのはフランス人のグスメロリだけ。だが大会中この3者の間で行われた会話を外部に漏らすことはISUが厳しく禁止しているため、真相は永遠に藪の中だろう。
今回の倫理規定改定で、大会で任命された人物に何らかの疑惑が生じる可能性が見つけられた場合は、即座にISUフィギュアスケート副会長に報告をせよ、とある。
皮肉なことに、現在ISUのフィギュアスケート副会長を務めているのは、ロシアのアレクサンドル・ルケルニック。
ソチオリンピックの女子で、テクニカルコントローラーを勤めた人物なのである。