フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ISUが審判の倫理規定に大鉈!
北京冬季五輪のフィギュアにも影響。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byISU via Getty Images
posted2019/07/08 11:15
2002年のソルトレイクシティ五輪の採点疑惑などを契機に、昔からフィギュアスケートの採点方法は改善を重ねてきてはいるのだが……。
選手との個人的関係なども監視対象に。
さて、今回ISUが発表した倫理規定のうち、主なものをいくつか上げてみる。
特に技術パネルと、レフリーについて厳しく詳細に及んでいる。最初は、個人的な人間関係を基盤にしたものだ。
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ジュニアとシニアのGP大会及びGPファイナル、ISUチャンピオンシップス(欧州選手権、四大陸選手権、世界選手権)、冬季オリンピックにおいて、出場する選手と特別な関係にある人物はレフリー、テクニカルスペシャリストおよびアシスタントテクニカルスペシャリストの任務に就くことは許されない。
特別な関係とは、家族的な交流、名付け親(ゴッドペアレンツ)、親しい友人、あるいは選手本人およびその両親、親戚またはコーチと個人的な敵対関係にある場合を指す。
テクニカルスペシャリストとアシスタントテクニカルスペシャリストが現役のコーチである場合、その生徒のライバルが出場している大会には任命されない。また自分の生徒がジュニアかシニアのGPシリーズに出場しているコーチは、そのシーズン中はGPシリーズ全体を通し、テクニカルスペシャリストおよびアシスタントテクニカルスペシャリストの任務につくことは出来ない。
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この項目は、非常に画期的なものである。
エリートレベルのフィギュアスケート界は狭い社会で、みんながどこかで何らかの形でつながっていると言っても過言ではない。過去にはある大会で、その試合にでる組のライバルチームのコーチをしている人物が、アイスダンスのテクニカルスペシャリストだったという例もあった。今後はこういったことを厳しく取り締まる、というのである。
興味深いことに、この条件はジャッジには与えられていない。ほとんど身内同士のような狭い社会の中でここまで厳しく規定すると、各大会のジャッジ指名に大きな混乱が起きることは必須である。またジャッジは全体で9人いる上に、最低と最高のスコアが削除されているため、技術パネルほどの影響がないと判断されたのだろうと推測する。