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セレソンに吹き荒れるブーイング。
コパで問われるチッチ監督の手腕。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2019/06/27 07:00
“安定政権”に逆風が吹き始めたチッチ。コパ・アメリカを制し、国民を結果で納得させられるか。
ロシアの学びを生かし、新鋭を起用。
グループステージの3試合を終え、無失点だったのはブラジルとコロンビアの2チームのみ。守備に関しては依然、抜群の安定感を見せているカナリア軍団ではあるが、決勝トーナメントで指揮官が問われるのは攻撃の構築である。
大会直前の5日に行われたカタール戦でネイマールが負傷交代。絶対的エースを欠いてコパ・アメリカを戦うブラジルだが、グループステージでは守備的な相手に手を焼いてきた。
もっとも、ロシア大会では不振だったガブリエル・ジェズスにこだわり、柔軟な起用を見せきれなかったチッチだが、コパ・アメリカでは世論や解説者らが待望する新鋭、エヴェルトンをペルー戦の先発に抜擢。特定の選手にこだわらない采配を見せるのは、ロシアで学んだ教訓ゆえである。
準々決勝では「鬼門」がチッチを待ち受ける。対戦するパラグアイとは2011年と2015年大会の準々決勝で対戦し、いずれもブラジルは苦杯をなめている。
パラグアイ戦に勝ち上がれば、準決勝ではアルゼンチンとの「スーペルクラシコ」が、さらに決勝のマラカナンでは因縁のウルグアイ戦が実現するかもしれない今回の決勝トーナメント。優勝までの道のりは険しいが、チッチの手腕が問われることになる。