藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
冨安健洋、堂安律がもう注目銘柄。
藤田俊哉が知る欧州移籍市場の今。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byGetty Images
posted2019/06/26 17:30
6月の国際親善試合では久保建英(右)と競演した堂安律。彼もビッグクラブへのステップアップを目指す1人だ。
コーチとして対戦して強烈な印象。
彼らの多くはクラブのアカデミーで育てられた選手だが、18歳という若さにして多額の移籍金でアヤックスに加入した選手もいる。アカデミーで育てられた選手たちは、アヤックスの哲学を学び、日々成長していく。
18歳で国際移籍した選手は、そのポテンシャルを生かしてU-19やヤングチームでトレーニングし、オランダ2部リーグで試合経験を積む。そうしてトップチームで活躍するための準備をするのだ。
今シーズンの快進撃によって、その過程がこれまで以上に注目されることになったアヤックスだが、このスタイルそのものがクラブの歴史となり哲学となる。
名前を挙げた選手たちには、私がVVVフェンロでコーチをしていた時代に対戦相手(ヤング・アヤックス)として強烈なインパクトを受けた。
当時は2部にあたるジュピラーリーグ所属だったが、彼らは翌シーズンにはトップチームへ昇格していった。ただこのこと自体、さほど珍しいことでもない。ヨーロッパの頂点を争う舞台で活躍するまでの早さには正直驚かされるが、こちらはこれくらいスピード感で進んでいると考えたほうが良いかもしれない。
堂安、冨安のようなケースが。
これを日本と比較することはできない、との見方もある。身体の成長スピードをとっても、アジア人とヨーロッパ人とでは違う、というのがひとつの理由だ。とはいえ、ヨーロッパではこのように進んでいるのが現実である。
ただ徐々にではあるが、日本もその方向に進んでいると考えてもいい。例えば、堂安律や冨安健洋はそのケースにあたるだろう。彼らは19歳で海を渡り、オランダ、ベルギーで活躍した。その実力が評価され、20歳そこそこの若さでステップアップの時を待っている選手たちだ。
とくに堂安律のオランダでの評価は高い。アタッカーということもあってか、左利きであるのが特に高く評価されている理由だ。現地の評論家たちがオランダ時代の本田圭佑と比較して堂安のプレーを分析し、彼の将来性についてさかんに議論している。
本田はオランダからロシアのCSKAモスクワへ渡ったが、堂安はどのような道に進むのだろうか? このオフの動向が気になるところだ。
あくまでも個人的な見解だが、私はアヤックスでプレーする堂安律を見たい。