藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
冨安健洋、堂安律がもう注目銘柄。
藤田俊哉が知る欧州移籍市場の今。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byGetty Images
posted2019/06/26 17:30
6月の国際親善試合では久保建英(右)と競演した堂安律。彼もビッグクラブへのステップアップを目指す1人だ。
ボールを握っていくチームで見たい。
これまで堂安がプレーしてきたフローニンゲンは中堅クラブだ。
対戦相手によっては多くの時間を守備に割かなければならなかった。一方で、リーグ内で圧倒的なチーム力を持ったアヤックスは、基本的にはボールを握って試合を展開できる。その中で彼の最大のストロングポイントである攻撃力を存分に発揮してもらいたいのだ。
得点という結果を残して、さらに評価を高めてほしい。実現すればアヤックス史上初の日本人選手の誕生である。
もちろん、その先にはヨーロッパのメガクラブへの移籍も視野に入れたい。とにかくこのオフの動向は気になるところだ。
中山、板倉、伊藤にも注目したい。
もちろん冨安にも同じことが言える。ベルギーで実力を証明できた今、どのようなクラブが彼にオファーを出すのだろうか? 吉田麻也に続くヨーロッパでの大型センターバックの活躍は日本サッカーの今後を左右する。
イタリアからのオファーがあると噂されているが、まだ決定の知らせは届いていない。あの守備の国で、中心選手としてプレーする彼の姿が見られたら最高だ。
彼らに続く存在となりそうなのは、昨シーズンのシント・トロイデンでゴールを量産した鎌田大地。東京五輪世代となればハンブルガーSVの伊藤達哉、シーズン途中からオランダに渡った中山雄太(ズウォレ)や板倉滉(フローニンゲン)のプレーにも注目している。
20代前半の選手は間違いなく欧州フットボールの中心的存在になろうとしている。
各クラブのSDやTDは、驚くほどの情報量を持っており、スタジアムや練習場で会えば、すぐに専用のリストを取り出して選手の特徴を聞いてくる。当然、独自の情報網を持っているが、我々日本人の意見も聞きたいと質問してくるのだ。
金の卵を探すことへのプライド、それらへの探究心、その行動力はすさまじい。様々なクラブが世界中に配置したスカウト陣には、選手の才能を見抜く力がこれまで以上に求められるだろう。