マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER

現在の野球界の民度を信じてみたい。
球数制限の方針を学校が宣言しては?

posted2019/06/15 09:00

 
現在の野球界の民度を信じてみたい。球数制限の方針を学校が宣言しては?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

球数制限で公式戦の試合数は減らせるが、練習試合などで投げ過ぎたら元も子もない。当事者の意識を変える必要があるのだ。

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

「全日本大学野球選手権大会」が神宮球場と東京ドームを会場にして行われている。

 この大会には、全国からさまざまな野球人たちがそれぞれの目的と思いを抱いて、球場にやって来る。

 高校の監督さんたちは、手塩にかけたOBたちが大学でどんなふうに頑張っているのか、どう成長しているのか……それを楽しみに東京へやって来る。

ADVERTISEMENT

 この大会には大学の監督さんたちも大勢やって来るから、今預かっている選手たちの進路を広げる活動も、欠かせない“ミッション”になる。

 観戦を終えた後の「反省会」は、お互い久しぶりに再会した高揚感からか、お酒の力も加わって何かと白熱するものだ。

 今回の集まりは、皆さんがそういう世代だったこともあって「上原浩治投手引退」と、やはり皆さんが共通して悩ましいテーマとして抱えている「球数制限」で盛り上がった。

「球数制限」は、皆さんがそれぞれに説得力のある理由を挙げて、ありやなしやを熱く語り合った。

 夕方から始まって、上京中の皆さんは、なんなら歩いても帰れる新宿、渋谷近辺に宿をとっておられたが、東京に住んでいるこっちのほうが終電が危うくなる……そんな時刻まで語り合っても、それぞれの主張がみんな正しく聞こえ、結局共通の正解は見つけられなかった。

学校が宣言すれば中学生も選びやすい。

 帰り道、フッと考えた。

「球数制限」って、誰かがどうするか方法を決めて、「決めたから明日からこのやり方で、日本じゅう、右へならえー!」って、そういうもんじゃなくてもいいんじゃないか。

 たとえば「ウチは球数制限やります!」でも、「ウチは球数制限なんてやりませーん!」でもいいから、やるのかやらないのかそれぞれのチームがよく話し合って決めて、そのやり方を「宣言」して、そのシーズンは宣言したやり方でチームを運営する。

 そういう「各校選択方式」ではいけないのだろうか。

 べつに、宣言などしなくてもいいとも思うのだが、学校のホームページに掲げておくなり、新チームの秋の大会の抽選会で“どっち”でいくか紙でも出して高野連のホームページで公開しておけば、中学3年球児たちがめざす高校を選ぶときに親切であろう。

【次ページ】 「考える力」がない人のための方法。

1 2 3 NEXT

高校野球の前後の記事

ページトップ