ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
批判の声が噴出する全米オープン。
松山英樹は難コースでも気にしない?
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/06/13 10:30
ぺブルビーチでの初ラウンドが全米オープンとなる松山英樹。コースセッティングに動じる気配はない。
「あれはアカンやろ……」
フェアか、アンフェアか。“ゴルファー世界一”の称号を奪い合う戦いだからこそ、非難も批判も疑問も集まるのは当然かもしれない。
ただ、そんな彼らの鼻息の荒さを、松山は一歩引いて眺めている。
「まあ、昔からの話ですよね。それを口に出すか、出さないかの話じゃないですか。ずっと我慢するのがUSオープン。僕は『そういうもんやろな』としか思わないかな……」
1年前、ミケルソンの行為にはただ開いた口がふさがらなかった。
「あの日は僕もパットが(転がりすぎて)バンカーに入っちゃって。ホールアウトして、記者の人にも聞かれたんですけど、『まあ、止まらないけどさ……しょうがない』と思ったんです。フィルの件はその時も知らなかったんです。
そのあと、携帯(で映像)を見たら、ええ!? って。あれはアカンやろ……。ダメでしょあんなの。僕は(ミケルソンが)失格じゃないかと……。確かにグリーンはメチャクチャ硬かった。でも、“理不尽”というほどではないんじゃないかなあ。去年は天気(予報よりも暑く、湿度も低かった)なんかがどうしようもないよね、という気がした」
コースに対してはイライラしない。
USGAに対して、あるいは米国に対して、権威主義的なところがあるわけではない。うまくいかないとき、松山が不満の対象にするのはセッティングではないという。
「結局それ(不満)はいいプレーができなかったから出るわけで。自分に対してはイライラするんですけど、コースに対してはあまりない。厳しいセッティングだなあとは思いますけど、『なんだよ、このセッティング』とはならないかな。“やり上げたな”って思うくらいです。USGAがティエリアを毎日変えたりするのも、僕はおもしろいと思う」
選手たちがラウンドにおいて、決まって不満を募らせるのは、良い判断、良いショットをしたにもかかわらず、結果が報われないとき。
ただ、最終的な結果を見ると、ここ数年の全米オープンはしっかり強い選手が勝っているのも事実である。