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群馬・布啓一郎vs.鳥取・高木理己。
市立船橋「師弟対決」で溢れた思い。
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byIsao Watanabe
posted2019/06/13 07:00
“師弟対決”は群馬・布啓一郎監督(左)に軍配。試合後、言葉こそ多くなかったが、両者は握手で健闘を称えあった。
「指導者冥利に尽きる」(布監督)
やはり市立船橋高校OBであり、年代別代表で監督・コーチの間柄だったこともあるカターレ富山の安達亮監督と、「師弟対決」はすでに経験済みの布監督ではあるが、みずからのもとで指導者生活を始め、ついにJリーグの監督同士の立場で対峙することになった、かつての教え子との真剣勝負は、感慨深かったようだ。
「指導者冥利に尽きる。私の立場からすると、その一言だと思います。高校生のときの彼は、むしろ悔しい思いをした部分のほうが大きいと思うんですね。でも、そういうなかでもチームをまとめるとか、引っ張るとか、リーダーシップを発揮できる。そういう選手でしたし、何よりもサッカーに対する情熱を持っている。いろんな苦しい選手の気持ちも分かる。そういうバイタリティーのある人間だったので、私のことを手伝ってもらった。そういう形でした。
いまでもオフのときには、いろいろな話をするんですけど、彼のサッカーを考える力、見る眼には、私のほうが勉強になることもたくさんあります。きょうはたまたま、こういうスコアになりましたけど、やっぱり絶対に良い指導者になる人間だと思っていますので。頑張ってくれればと思いますし。次はどうなるか分かりません。次にやられないように、我々も頑張ります」
0-5から始まった市船サッカー。
次の対戦は10月20日。今度は鳥取がチュウブYAJINスタジアムで、群馬を迎え撃つ。高木監督は大敗となった初の「師弟対決」を、こんな言い方で締めくくった。
「顔を下げるのではなく、これからのゲームでしっかり恩で返せるように。市立船橋も選手権の1回戦で、国見高校相手に0-5で負けたところから始まっていますので(2度目の出場となった1986年度の第65回大会)。そこで顔を下げずに戦っていた布啓一郎の姿を、もう一度、心と頭に叩き込んで、自分も邁進していきたいと思います」