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駒野友一が今治で脱いだ2つの殻。
チームの「怒り役」と、料理男子。
posted2019/06/15 11:00
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
Toshihide Ishikura
夕方になると、台所に立つのが日課になった。
「お昼は外で食べるので、夕食も外で済ませようと考えていたんです。でも嫁さんに『外食だと量が少ないし、栄養のバランスも良くないよ』と言われて、背中を押されました。嫌だな、と思ったんですけどね(笑)」
それまで部屋になかった炊飯器と電子レンジ、鍋を購入し、レシピは夫人から送ってもらった。
「食材を買いに行って、自分で作って食べていると『家で作るのもいいな』と思って。スーパーでの買い物も、最初は面倒でしたけど、いまでは積極的に行きますよ(笑)。冷蔵庫に野菜が残ったら、それで作れるメニューを検索したり、嫁さんに聞いたりしています」
料理が終わったら洗濯機を回して。
料理が終わったら、食べている間に洗濯機を回す。
「ネットに入れて、生地が傷まないようにして洗っています。洗剤は、汗や匂いがしっかり取れるものを選びました。これまで全部任せていたので、ありがたみが分かります」
夕食を食べ終わったら食器を洗い、洗濯物を干して、寝る。
単身赴任のサラリーマンではない。JFL・FC今治の元日本代表DF駒野友一は、そんなサイクルの日々を過ごしながらシーズンを戦っている。
2000年にサンフレッチェ広島ユースからトップチームに昇格してプロになり、最初の1年間は練習着を自分で洗濯していた。だがその後は、移籍してプレーしたジュビロ磐田、FC東京、アビスパ福岡も含め、脱いでおけば洗濯してくれるスタッフがいた。
食事は、プロ最初の2年間は寮で用意されていた。3年目に1人暮らしを始め、少しだけ自分で作った時期があるものの、ほどなく現在の夫人が作るようになり、以降は任せっきり。磐田を離れたのを機に単身生活を始めたが、FC東京、福岡とも寮で暮らしていたので、食事は用意してもらっていた。