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サヨナラ負けの33分後、甲子園から
北海道へ。日本ハム裏方の仕事ぶり。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/06/10 16:30

サヨナラ負けの33分後、甲子園から北海道へ。日本ハム裏方の仕事ぶり。<Number Web> photograph by Kyodo News

北海道を本拠地としている球団の宿命として、飛行機での移動を強いられるチームを支えるのが、マネージャーなどの裏方スタッフだ。

打撃投手がこなす“二刀流”とは。

 プロ野球界では「裏方」と称される仕事がある。

 マネジャー、バッティング投手、ブルペン捕手、トレーナー、スコアラー、通訳……と、数多の役割がある。

 チームを機能させ、選手たちに最善のプレー環境を提供することに努めるのが、すべてに共通した使命である。チームと同行しており、またチームを成立させる上で欠かせないピースが「裏方」である。

 プロ野球の元投手が多数を占めるバッティング投手は、自軍の打者に「打たせる」ことが、仕事である。現役時代は「打たせない」ことに心血を注いできたが、真逆の観点から腕を振ることになる。

 今シーズンから転身したのが、石井裕也バッティング投手。当初は「かなり難しい」と悩んでいた。現役を終えたばかり。全力投球では、まだ球威もあり打者の調整には不向きである。そのため球速を落とそうと力加減をするが、それによって制球の感覚も現役時代とは、まったく違う。同じ「投手」ではあるが、異質である。

 試合中、バッティング投手は基本、本業の出番はなくなる。ファイターズのバッティング投手は、スコアラー業務の補助や用具担当のマネジャーのサポートなどを行っている。ブルペン捕手は試合中、待機している中継ぎ陣の出番に備えている。試合後は、打者の練習パートナーを務めるなど1日中、寸暇を惜しんで「二刀流」の動きをするケースが多い。

トレーナー陣とスコアラーの役割。

 トレーナー陣は選手のコンディション管理と肉体のケアが主となる。選手たちを待ち受けるため球場入りは早く、帰路に就くのはホームゲームのナイターであれば深夜12時を回ることもある。遠征先のホテルではトレーナー室という一室が設けられており、そこに待機しながらケアを求める選手の対応をしている。

 昼夜を問わず、異常を訴えた選手の精密検査のために病院へ同行するなど有事に備えて、常に気を張っている職務である。

 ゲームプランの浮沈のカギを握るのがスコアラー。役割はそれぞれだが、勝敗にリンクする任務である。膨大なデータを整理し、攻略のポイントを栗山監督とコーチ陣と綿密に打ち合わせ、選手へも共有、伝達する。時に独自の視点で見解を示し、その成否がチーム、選手個人の結果へと反映される。

 遠征先での深夜のホテルで、大量の資料を手に歩いている姿をよく目にする。翌日へ向けた資料を、選手の部屋へとポスティングしている。

【次ページ】 早朝に起きる通訳の「二度寝」。

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