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得意コースで108H連続ノーボギー。
ざわめく米メディア、動じない畑岡奈紗。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2019/06/06 07:00
同大会で108ホール連続ノーボギーという偉業にも、自分らしさを貫いた畑岡奈紗。
「108」でストップも、すぐイーグル。
大会3日目、ついに記録が途切れる。14番のティーショットを曲げて右のラフへ。第2打はグリーン手前の右のバンカーにつかまる。3打目のバンカーショットはピンそばに寄せることが出来ず、パーパットを外した。
ボギーを叩いたのは、109ホール目であった。
ところが、畑岡は次のホールですぐ取り返す。約20ヤードのチップインイーグルを決めると、両手をあげて喜んだ。実は申も記録が途切れた次のホールでイーグルを奪っている。
かつて申は「記録の重圧から解放されてリラックスしてプレーできたから」と話していたが、畑岡の心境は違ったようだ。
「(スコアを)取り返そうという気持ちはなかったです。ボギーを打っても悪い順位ではなかったので」
すぐに気持ちを切り替え、攻めた結果がイーグルにつながったという。
「まあボギーが出ちゃったらしょうがないですし。『ボギーを打たないように』というより『バーディーを取るように』という感じです」
畑岡はサバサバと話した。そこに記録が途切れた悔しさは感じられなかった。それよりも前半からバーディーを取って、勢いよくプレーできたことに満足していた。目の前の一打に集中して、どんどん攻める。まさに畑岡奈紗らしさが、108ホール連続ノーボギーという結果に集約されていた。
起伏が激しいキングスミル・リゾート。
集中したら好スコアが出るかというと、そんな簡単なコースではない。試合会場のキングスミル・リゾートはコースの起伏が激しい。ゴルフチャンネルの現地レポーターを務める片平光紀氏が解説してくれた。
「このコースでノーボギーを続けることは、本当にすごいことです。平らなところがないため、正確なショットが打てるだけでは足りないんです。例えば9番や12番、ライから左足下がりのショットが要求されます。左足下がりのショットはスピンコントロールが難しく、ボールが低く出やすいんですね。経験豊富なプロでも判断に迷うショットです。
ところが畑岡選手はグリーンまで打ち上げていました。つまりボールを高く上げてピタッと止める技術を持っているということです」
技術力だけではない。判断力も求められるコースなのである。