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新しい地図・草なぎ剛×山本篤&井谷俊介。
「かっこよさにこだわり続けたい」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/05/28 07:00
草なぎ剛(中央)とともに走る井谷俊介(左)と山本篤。パラリンピックの舞台を心待ちにする2人だ。
陸上を始めて間もないのに11秒70。
草なぎ おふたりとも多才ですね。井谷さんは陸上を始めて間もないのに、昨年のアジアパラで11秒70というタイムを出し、優勝もしてます。そんなことあるんですか?
山本 勢いあるよね。若い頃はいきなり強くなるタイミングがあるけど、井谷くんはまさに今その状態だよね。
井谷 タイムが伸びているのは最初が悪すぎたというのもあると思います。初めて国際大会に出たのは去年の5月(北京グランプリ大会)。優勝はしましたが、12秒91と平凡なタイムでした。実はこのレース前日に肉離れをしてしまって。その晩も寝れないくらい痛かったんです。でも、お世話になっている人たちへ「棄権しました」ではダメだと思い、気合いで強行出場しました。
草なぎ 肉離れしながら走るのは考えられない……逆に集中できたんですかね。
井谷 とにかく早く走り終えて、ベッドに寝転がりたい一心だったんです。その肉離れは9月まで響きました。
山本 じゃあ10月のアジアパラが、初めてストレスなく走れた大会だったんだ!
井谷 はい。もう、よっしゃー! って走りました(笑)。予選から楽しかったです。結果的には初めてのシーズン、良い形で終えられましたが、今だったら怪我をしたらきちんと治すことに専念します。それだけ自分の体への意識が低かったんです。
山本選手は僕の憧れの存在でもあるので、質問をしてもいいですか? 競技を始めて1、2年はどのように練習メニューを組んだり、身体のケアをしていたんですか。
大学時代から変わらないサイクル。
山本 最初は陸上の知識も全くなかったし、ひとりで練習してました。僕は高校までバレーボールをやっていたのですが、バレー部は毎日同じトレーニングの繰り返しだったんです。だから陸上も同じだろうと自己流でメニューを組んでいたけど、でも、タイムが伸びなかった。このままだと強くなれないと思い、大阪体育大学に入学して陸上部で本格的に練習を始めると、あっという間に記録が伸びていきました。
草なぎ それからはどんな練習を?
山本 1週間の練習メニューが決まっています。月曜日はブロックを使ったスタートダッシュ、火曜は「加速走」といって30mの助走をつけて次の30mを全力で走る練習。水曜がウエイトトレーニング、木曜はオフ。金曜にまた加速走をやって、土曜日は150mから250mの少し長めの距離を走り、日曜日はオフです。大学生のときからずっとこのサイクルですね。
草なぎ 十数年そのリズムで?
山本 細かい変化はありますが、基本的にはこのメニューを変えてません。
井谷 すごい……。僕はズボラで、練習日誌もたまに付け忘れてしまいます。感覚に頼っている部分の方が多いです。
山本 井谷くんは若くて、走れば走るだけ記録が伸びているからいいんだよ(笑)。