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新しい地図・草なぎ剛×山本篤&井谷俊介。
「かっこよさにこだわり続けたい」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/05/28 07:00
草なぎ剛(中央)とともに走る井谷俊介(左)と山本篤。パラリンピックの舞台を心待ちにする2人だ。
同じ陸上選手でもタイプは大違い。
草なぎ 同じパラリンピックを目指す陸上選手でもタイプが全然違いますね。
山本 僕は昔から何事にも「なんで?」と疑問を持ってしまう性格なんです。練習も「なぜこのメニューなのか」を理解しないとやりたくない。理不尽は嫌いです。その点、大学入学からずっとお世話になっている伊藤章コーチは理論の部分も丁寧に教えてくれる。
例えば、土曜日のメニューは「週の後半で体が疲れているときに長い距離を走ると、筋持久力が鍛えられるから」。メニューにはすべて理由があり、それが全て僕の中で腑に落ちているからこそ同じ練習を十数年続けていられるんだと思います。
井谷 見習いたいです。僕は今、脇阪さんの紹介で、山縣亮太選手や福島千里選手も指導している仲田健コーチについているのですが、自分の理論というより、コーチの言うことや周りの方のアドバイスを吸収するだけで必死で……。
山本 井谷くんはトップ選手もこなしている、いわば完成されたメニューをやっているので「なんで?」となりにくいんだよ。恵まれた環境にいるのは間違いないから安心していいと思うよ。
かっこよく見える走り方、跳び方。
山本 草なぎさんにひとつ聞いていいですか? 役者のお仕事などで「なんで僕がこの役なの?」とか、思ったりしますか。
草なぎ ないですね。結構、言われたことを素直にやるタイプなので(笑)。やってみないと分からないから、とりあえず一回やってみよう、と。アスリートと違って僕らの仕事は失敗が面白くなったりもして、自分には不向きな仕事が作品として見ると面白くなっていたりもするんです。下手さが“味”になるというのかな。でも限度を超えると、味ではなく、ただの下手クソになってしまうので、気をつけてますけど。
山本 僕もタイムや順位とは別に、お客さんに競技中の自分の姿をかっこよく見せたいというこだわりがあるんです。ある意味で味を出したいということかもしれません。だから写真写りも気にしますよ。
草なぎ へー! 何かきっかけが?
山本 メディアに写真が載ったときに「この写真嫌だな」というケースがあるので、常にかっこよく見える走り方や跳び方を研究しています。例えば、僕は競技中はサングラスをするのですが、それもかっこよさのため。全力で走っていると重力のせいで、白目剥いちゃったりするので。あと、僕は走り幅跳びでジャンプする時に空中で足を回すのですが、これはたまたまやってみたときに撮られた写真がすごくかっこよかったから。それからこの跳び方に変えました。