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「ゆるくラグビー観戦」という文化。
オーストラリアの週末で見た解放感。
posted2019/05/23 07:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Miho Watanabe
まあとにかく、解放感がハンパないのだ。
オーストラリアのシドニーハーバーからフェリーに30分ほど揺られたところに、マンリーというビーチリゾートがある。国内随一と言っていい観光名所は、マンリーラグビーユニオンフットボールクラブのホームタウンでもある。
1883年から続く通称“マーリンズ”は、ニューサウスウェールズ州のクラブラグビー選手権を戦っている。近隣のクラブ同士が争う意味では、地域リーグといった趣だろうか。
日本が大型連休に沸いていた5月上旬、“マーリンズ”のホームゲームが行われた。クリケット用にレイアウトされたスタジアムには、ほんのりとワックスの匂いがする。ビーチが近いからに違いない。青一色に染まった空と緑の芝生が、訪れる者の気持ちを沸き立たせる。
世代をこえた“女子会”が開催。
この日は年に一度のレディスデイで、クラブが選手の母親、妻、彼女、パートナーをもてなしている。ドレスアップした女性たちは、ケータリングの食事とアルコールを楽しむ。もちろんすべて無料だ。ピッチサイドに建てられたテントは、世代をこえた“女子会”となっている。
グラウンドでは午前10時半から試合が行われている。15時キックオフのファーストグレード──平たく言えばトップチームということだろう──の試合まで、女子も含めて5試合が組まれている。
これが15ドルで見られるのだ。レストランでのランチ代ほどの金額が高いか安いかはともかく、午前中から観客が詰めかけていた。
スタンドを見下ろすクラブハウスの最上段は、スポンサー専用のビューボックスだ。ブラジル風のバーベキューが食欲をそそり、ビールやワインが喉にスルリと落ちていく。クラブはスポンサーの支援で成り立っているので、出資者たちは自分のお金で食事をしていることになるのだろう。