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堀江翔太の、怖いことと楽しいこと。
「ラグビーW杯にすべてをかける」
posted2019/05/15 08:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Miho Watanabe
堀江翔太の表情が明るい。
「いまはまだ、W杯をそこまで意識していないですね。目の前の試合に自分のベストを注いでいくことが、W杯へつながっていくと思うんです」
2011年と'15年のラグビーW杯に出場したこの33歳は、昨年9月に右足首を痛め、11月に手術へ踏み切った。その後は戦列を離れていたが、今年3月末から実戦に復帰している。
4月下旬にはスーパーラグビー(SR)に参戦しているサンウルブズに合流し、日本代表候補が集まるチームで26日に途中出場を果たす。そのままオーストラリアへ遠征した5月3日のSRでは、今シーズン初先発を飾った。
メルボルンで行われたSRから3日後、サンウルブズのキャンプ地に堀江を訪ねた。オフの時間だけに表情は穏やかで、ケガの回復具合についても「もう大丈夫です、全然大丈夫です。いまのところは何もないので、このまま順調にいってくれればいいですね」と軽やかに答える。
そのあとすぐに、「まあでも、分からないんでね、違うケガをするかもしれないですから」とオチをつけるのは、経験豊富な彼らしいサービス精神だろう。
「代表としては最後かもしれないので」
9月20日に開幕する今回のW杯は、堀江にとって過去2大会と違う位置づけになる。
「代表としては最後かもしれないので、すべてを賭けて、やりたいなって思いますね」
言葉を区切りながら話していくのは、日本開催のW杯に寄せる決意の表れだ。開幕までの1分1秒を、愛おしむように過ごしているのかもしれない。
「また来年もあるわと思っているときと、これが最後かもしれんなと思っているときは、ほんま何かちゃいますね。すごいポジティブに生きれるというか。最後に湧き上がる力って、何かあるのかもしれないですね。頑張らなアカンわって思いますから」
頑張らなアカンわ、との思いの行き先はひとつでない。間近で支えてくれている家族のため、応援してくれている人のため、そして日本ラグビー界のために、堀江はピッチに立つ。
「すべてがつながっていると思います。僕が頑張ることは代表のためにも家族のためにもなり、応援してくれている人たちのためにもなる。ラグビー選手ができることって、そこやと思うんです。テレビに出てW杯を宣伝するとかいうよりは、どれだけラグビーをプレーしている姿を見せられるかだと思うので。そこをメインに僕はやっていきたい、と思っています」