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オランダと日本の滑りの技術の融合。
小平奈緒が大きく進化した「5カ月」。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byShunsuke Mizukami
posted2019/04/25 18:00
発売中のNumber977号に掲載の小平奈緒選手、結城匡啓コーチの取材は信州大学の結城氏の研究室で行なわれた。
創造、ひらめきこそが勝利への道。
W杯で連勝を始めた'16年の年末頃、彼女はこう話している。
「以前は力ずくでやっていたのですが、今は体がしなやかに動いているという感覚がある。動かすタイミングが良くなっているのかなと思う」
それは、Number977号の記事にも記したように、'98年長野五輪金メダリストの清水宏保をして「動きが変わりすぎていて、小平さんだと思わなかった」と言わしめるほど理想的なフォームだった。
小平はこのように強調していた。
「日本で積み上げてきたものは無駄ではないと思っているし、オランダ人とまったく同じ練習をしていて勝てるかというと、そういうわけではないと思う。勝つためのやり方は、自分で創造していかないといけない。単純に日本流とオランダ流をミックスするというものでもない。どういうやり方が良いのか。創造し、ひらめくのを楽しみにしている」
究極の滑りを導くヒントがひらめいたのがオランダでの2シーズン目、つまり、'15-'16シーズン。そして、自分自身をそのレールに乗せたのが'16年4月から8月まで日本で行なったオフのトレーニングだった。
理想のフォームを机上から氷上へと移し替えることができたのは、結城氏をはじめとする日本人指導者、研究者のサポート、そしてさまざまな人々の尽力があったからこそ。これも、平昌五輪秘録として残しておきたいことなのである。
Number977号では、結城匡啓氏に師事した小平奈緒と清水宏保の特集記事を掲載しています。2人が目指した「究極の滑り」とは何なのか。ぜひご覧ください。