月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER

佐々木朗希の投げる姿を見ましたか?
怪物感を煽る、UFOのような未知性。 

text by

プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2019/04/30 08:00

佐々木朗希の投げる姿を見ましたか?怪物感を煽る、UFOのような未知性。<Number Web> photograph by Kyodo News

最速163キロ右腕・佐々木朗希投手の「令和初戦」は5月2日に決定。

秘境扱いになったIWATE=岩手。

 そしてなんといっても岩手である。この10年の間に菊池雄星、大谷翔平という逸材を出した実績がある。またしても岩手! という地域性。ひっそりと、ゆったりと、その地で怪物が成長している。この時代にこんな神秘があったとは!

 すると、やはりと言うべきかこんな記事が出た。

『この10年で雄星、大谷に続き 163キロ佐々木生んだ IWATEの謎 メジャー重大関心』(東スポ4月10日付)

 IWATEって何かと思えば「岩手」のことだった。もはや世界的な関心になっている岩手の神秘。

《いったい「IWATE」には何があるというのか――。》

 東スポも嬉しそう。完全に「探検隊」のノリである。記事にはメジャー球団スカウトの話として、

《「今後は(MLB球団)本部から詳細な調査リポートを求められてくる可能性がある。どういう地域のどういう風土で何を食べ、どんな両親に育てられたのかまで。もっと深くその土地に入って調査をしなければいけない時代がそこまで来ているのかもしれない」と力説した。》

 もはや研究対象となってしまったIWATE!

雄星「あれはやばいですよ」

 4月19日のスポーツ報知は『剛腕続々誕生 なぜ岩手?』という特集を組んだ。こちらも「岩手の謎」に迫る記事だ。

 地元の高校野球の名将が「広大な面積に多種多様な人」「勤勉に頑張る風土が若者にも」「魚介類が豊富な食生活」などと挙げているが、説得力があったのは“研究対象”のひとり、菊池雄星のコメントだ。

《素晴らしい環境からいい選手が育ってくる。花と一緒で、岩手はいい環境の中で、周りの人たちが温かく見守って育ててくれるんです。》

 そして菊池は佐々木について、

《あれはやばいですよ。怪物って使っちゃだめですよ。彼が基準になると、誰にも(怪物を)使えなくなる。新しい名前を考えてください。》

 と語っていた。

【次ページ】 スポーツ誌の大仰さを軽々と突破。

BACK 1 2 3 4 NEXT
#佐々木朗希

高校野球の前後の記事

ページトップ