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カーヴ三羽烏とオープナー。
レイズの奇策はMLBを席巻するか。

posted2019/04/27 10:00

 
カーヴ三羽烏とオープナー。レイズの奇策はMLBを席巻するか。<Number Web> photograph by Getty Images

4月8日、シカゴ・ホワイトソックス戦に先発したブレイク・スネル。レイズの好調を支える1人だ。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 タンパベイ・レイズが、依然として好調を維持している。4月20日現在、14勝7敗でア・リーグ東地区の首位。2位ヤンキースがじわじわと迫ってきてはいるが、まだ3ゲーム半の差がある。

 ご承知のとおり、両者の年俸総額は対照的だ。

 spotracのデータによれば、ヤンキースが総額2億ドル(約220億円)を超える(レッドソックス、カブスに次いで3位)金満球団であるのに対して、レイズのほうは総額6200万ドル(約70億円)にとどまっている(大リーグで最も低い)。

 だが、《家貧しくして孝子顕わる》の喩えはいまも生きている。昨2018年にはブレイク・スネル('92年12月生まれ)が大化けし(21勝5敗、防御率1.89)、サイ・ヤング賞を獲得する活躍を見せた。チームも年間90勝をあげ、地区3位の健闘だった。

弱体球団にオープナーは有効か。

 もうひとつ、レイズの名を球界に響き渡らせたのは、「オープナーの採用」という奇策を世に広めたことだ。

 もはや説明の要もないだろうが、これは「クローザー(抑え投手)がいるのなら、オープナー(序盤専任投手)がいてもいいじゃないか」という発想から生まれた戦術だ。つまり、立ち上がりの悪い先発投手の代わりに、集中力の高い中継ぎ投手を立てて(これがオープナー)短い回を託し、相手の先制攻撃を抑えたあとは継投でかわしていく。

 たとえば昨年は、ライン・スタニクという中継ぎ投手が、年間59試合に登板したうち、約半数の29試合で先発をつとめた。投球回数は、年間で合計66回3分の1だが、オープナーとしては40イニングスを投げている。

 先発したときの投球回数は、1試合当たり最大でも2イニングスで、自責点の合計は15(防御率3.38)だった。初回に3失点を許したり、先頭打者から3人つづけて四球を与えたりしたこともあったが、年間を通しての防御率が2.98だから、まず役目は果たしたといってよいだろう。

 一部では毛嫌いされた戦術だが(たしかに、先発の駒がそろっているチームにはやってほしくない)、レイズのような弱体球団にしてみれば、背に腹は代えられないといったところではないか。

 スタニクは、今季も5試合に先発して合計8イニングスを投げ、失点を許していない(全体では9試合=11回3分の1に登板して防御率1.59)。奇策がまだ功を奏しているといえなくもないが、今季のレイズは、昨季と異なり、先発の駒が3枚そろっている(昨季は100イニングス以上投げた投手が、スネルとライアン・ヤーブローの2名だけだった)。

【次ページ】 エース、スネルの驚異的な数字。

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