野球善哉BACK NUMBER
西武・高橋光成の話し方が変わった。
結果と原因に「なぜ」を探す思考力。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2019/04/19 08:00
ドラフト1位、5年目、西口文也の背番号13を継承。西武が高橋光成にかける期待はとんでもなく大きい。
自らの弱点を論理立てて話すように。
今季初登板となった3月31日のソフトバンク戦に先発した高橋は、6回裏に柳田悠岐に逆転本塁打を浴びた。この時がまさに、右足が折れてシュート回転したボールを打たれたものだった。
「清水さんの指導を受けて、地面の力をしっかりもらってということを意識したんですけど、どうしても癖が出てしまう。それが課題ですね。いい時はボールに力が伝わるのですが、そうでないとシュート回転してしまいます。ソフトバンク戦で柳田さんに打たれたホームランや、2回目の登板の日本ハム戦で近藤(健介)さんにヒットを打たれた時も、そうなってしまいました」
高橋の話を聞いていて感じるのは、自分がどうすると打たれて、どうすると打たれないかを理解して説明してくれるケースが多いことだ。
それこそが明らかな彼の変化で、清水氏が求める「なぜ」の考え方が彼なりに消化できていることの証左と言えるだろう。
「大事なのは継続していくことです」
高橋自らが性格面の課題にしていた「周囲に流されてしまう」という部分も、大きく変化している。自主トレを経て、他人がどうであれ自分のやるべきことに専念できるようになった。
とはいえ、右足が折れる癖や「流される性格」といった以前の自分が、試合中に顔を出す場面が今はまだある。
今後は高橋自身が自らの課題を、1試合限りではなく年間を通じて意識しつづけ、克服できるかが大切になってくる。
「いいピッチングができるようになってきましたが、大事なのは継続していくことです。結果を気にしてしまう気持ちを抑えて、自分ができることを集中してやっていきたいと思います」
しばらくは、良い投球も悪い投球もあるだろう。しかしその中で、高橋が同じマインドを保って1年を過ごせるか。
勝って驕らず、負けて腐らず、常に淡々と。その末に、自身初の2桁勝利が待っているはずだ。