球道雑記BACK NUMBER
ロッテ二遊間に漂う名コンビの予感。
中村奨吾と組む藤岡裕大の特別さ。
posted2019/04/19 11:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
二遊間の芸術的プレーに我々は何度も魅せられる。
近年では広島の菊池涼介と田中広輔のコンビ(通称タナキク)が織り成す美技の数々に思わず膝を打てば、過去に遡ると中日の荒木雅博と井端弘和のコンビ(通称アライバ)のプレーに敵味方関係なくスタンド中から拍手喝采が送られた。
「一、二塁間」、「二遊間」、「三遊間」と、内野のゾーンが3つある中で、とかく二遊間だけコンビで称されることが多いのは、二遊間が他のゾーンと比べ、コンビネーション、つまり阿吽の呼吸が必要とされる場所だからである。
当然、2人で重ねてきた実戦数がモノを言う場所であるし、経験を重ねることで、より円熟みは増し、そのプレーは芸術的とも言われ、人々の記憶にも深く刻まれていくことになっていく。
ロッテの二遊間は期待の若手コンビ。
昨年、千葉ロッテもこの二遊間をセカンド中村奨吾、ショート藤岡裕大の若い2人に固定してシーズンを乗り切った。
現役時代は主にセカンドを守り、ショートの経験もある井口資仁監督と、同じく名遊撃手として名を馳せた鳥越裕介ヘッドコーチならではの発想と言えなくもないが、その1つの成果としてさっそく表れたのが昨年、この二遊間であげた併殺成功の数だった。
浅村栄斗(現・楽天)と源田壮亮のコンビでリーグ1位の数字を残した埼玉西武の217には及ばないものの、千葉ロッテの二遊間は167の併殺をとり、リーグ2位の成績を残した。コンビ結成後、わずか1年でこれだけの数字を残したのだから、今後はさらなるレベルアップも期待できる。
いずれ球界を代表する二遊間として名を馳せる、そんな日がやってくるかもしれないし、これも苦しいとき、2人を我慢して固定し続けた井口監督、鳥越ヘッドコーチの執念の賜物と言えるかもしれない。