野球善哉BACK NUMBER
西武・高橋光成の話し方が変わった。
結果と原因に「なぜ」を探す思考力。
posted2019/04/19 08:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
発言からして変化を感じる。
「6回をビシッと抑えていたら違っていたと思います。(6回に)2失点した投球だと、(首脳陣は)次の回も任せようという気持ちにはならないと思うので、そういうところだなと思います」
これは、14日のオリックス戦に先発し、6回を投げ6安打3失点に抑えて2勝目を挙げた西武の高橋光成のコメントだ。まるで達観したような言葉は、今季の高橋光が昨季までとの違いを感じさせる要素だ。
自分の身に起きている現象をしっかり捉える印象が強くなっている。
プロ入り5年目。勝負のシーズンとして臨んだ高橋光はこれまで3試合に先発して2勝1敗、防御率3.43とまずまずのスタートを切った。
好スタートの要因は今年1月、昨季までチームメートだったマリナーズの菊池雄星との自主トレーニングを行ったことだ。「雄星さんと一緒に自主トレをさせてもらったことは、僕にとって本当に大きかった」と手応えを感じてのシーズンインだった。
何を目指すか、が明確になった。
もっとも、尊敬する先輩と時間を共有しただけで何かが変わるわけではない。今季の高橋が一味違うのは、野球に向かうマインドそのものが変わったからに他ならない。
例えば、ウェイトトレーニング。
昨年から体重が7キロ増えたという体つきを見れば変化は明らかだが、「体を大きくしようと思ってこうなったわけではない」という。何を軸にしてウェイトトレーニングをするかを理解したところに変化の理由がある。
実は、かつて菊池も同じことを話していて、2015年から体を大きくしたが、やはりスタートはマインドの変化だった。トレーニングについての考え方が変わったことの結果が、パフォーマンスやボールの質の向上であり、体の変化だった。
「正しいフォームでパフォーマンスを向上させるためのトレーニング。それをテーマにしていたら、体が勝手に大きくなりました。(中略)それと同時に投げるボールも変わりました」(『メジャーをかなえた雄星ノート』より)