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久保裕也の初得点で相手サポ歓喜?
ドイツでも稀な、超仲良し2クラブ。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/04/20 09:00
日本代表の将来を担うべき1人である久保裕也。ブンデス終盤戦での正念場で実力を見せられるか。
相手サポーター同士で肩を組み。
スタジアム最寄り駅の前では、道端でシャルケとニュルンベルクのチームカラーとエンブレムを模したマフラーが売られています。コンコースからスタンドに入ると、アウェーサポーターが大挙押し掛ける姿が見えました。
ところが、メインスタンドには両チームのサポーターが入り混じっていて、「何かがおかしい」と感じました。
さすがにブンデスリーガもスタンド専有部分は分けられていて、トラブル回避のために両チームのサポーターが混在することはありません。それなのに朗らかに肩を組みながら、ピッチへ向かって拍手を送っているではありませんか。
そして、両チームの選手が入場ゲートから姿を現すと眼前に壮大な光景が広がりました。メインスタンドから見て左側に青と白、右側に赤と黒。
「あれ? ホームのニュルンベルクサポーターの陣取るスタンドは左側で、シャルケは右側じゃなかったっけ?」
バックスタンド中央に掲げられたバナーにはドイツ語で「赤黒、青白は永遠に」と書かれています。なんと、鮮やかなビジュアルサポートは、両チームのサポーターが相手のチームカラーを掲げてお互いの前途を祝していたのです。
ユニフォームにも刻まれた友好関係。
実はニュルンベルクとシャルケのサポーターには友情関係があるそうです。それも近年、急速に関係が密接になってきたとのこと。
なぜ両サポーターが仲良くなったかには諸説あるらしく、駅構内で乱暴狼藉を働いていたバイエルンサポーターをニュルンベルクとシャルケのサポーターが協力して撃退したとか、シャルケサポーターがアウェーの地で所持金を落として困っていたら、ニュルンベルクサポーターが寄付金を募ってくれて無事帰れたとか、様々な行為が現在の良好な関係に結びついているようです。
サポーター同士の関係性は、クラブ間の友好にも波及しています。
両チームが着用するアンブロ社製のユニホームはチームカラーこそ自分たちのものでしたが、ニュルンベルクのユニホームにはシャルケのホーム、炭鉱都市であるゲルゼンキルヘンを模したハンマー&ピッケルが描かれていて、シャルケの方にはニュルンベルクが属するバイエルン州の紋章や旗をかたどったようなストライプ状の模様があしらわれていました。