ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
久保裕也の初得点で相手サポ歓喜?
ドイツでも稀な、超仲良し2クラブ。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/04/20 09:00
日本代表の将来を担うべき1人である久保裕也。ブンデス終盤戦での正念場で実力を見せられるか。
街のパブでも両サポーターは仲良し。
狂喜乱舞する現場を抜けミックスゾーンに辿り着くと、試合を終えた久保が淡々とした表情でロッカールームへ引き上げてきました。
「(インタビューは)後でもいいですか?」と発して約30分後に姿を現した久保は、自身初ゴールの喜びも早々に、今後も続く残留争いへの覚悟を口にして、静かにその場を去りました。自らが果たした仕事よりも勝敗にフォーカスして、1部残留への険しい道のりを戦い抜く。そんな決意にも似た彼の表情を、忘れることはできません。
日付も変わった頃、ニュルンベルク旧市街のパブは多くの人々でごった返していました。女性バーテンダーに「ピルスナーをください」と言うと、「ヘレスの方が美味しいわよ。どうする?」と聞かれたので、「じゃあ、ヘレスで!」と応えました。
忙しなく働く彼女がようやくビールを持ってきて「待たせちゃったわね。ゴメンね」と言うと、赤黒と青白が入り混じる周囲から「プロースト!(乾杯)」の声が上がりました。
試合は1-1、一進一退、スリリング。でも試合前も試合中も、そして試合後も、この街は温かくて、どこまでも深い愛情に包まれていました。