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無敗の皐月賞馬=名馬という歴史。
サートゥルナーリアは本当に1強か。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/04/13 09:00
まだ底を見せていないサートゥルナーリア。クラシック戦線の1強に躍り出ることができるか。
外厩の時代・平成を象徴する1頭。
宮城の山元トレーニングセンターが開設されたのは平成4(1992)年。栗東トレセンに近い滋賀のグリーンウッド・トレーニングが平成13年、京都の宇治田原優駿ステーブルが平成14年に設立され、やがて、そうした外厩で中間を過ごした馬たちの活躍が注目されるようになり、現在に至る。
つまり、平成は「外厩の時代」とも言えるわけで、それを象徴する1頭が、このサートゥルナーリアなのである。
阪神芝外回り1600mの新馬戦、京都芝外回り1800mの萩ステークス、そして、皐月賞と同じ中山芝2000mのホープフルステークスと、まったく特性の異なる舞台を、余力たっぷりに3連勝。
すっと先行して、ほとんど追われることなく、楽に後ろを突き放す。3歳上の半兄で朝日杯フューチュリティステークスを勝ったリオンディーズや、6歳上の半兄で菊花賞とジャパンカップを圧勝したエピファネイアを上回るスケールを感じさせる逸材だ。
角居調教師の独特の調教方法。
角居勝彦調教師は、前述したグリーンウッド・トレーニングなどの外厩を早くから活用し、デルタブルースやポップロックなどで結果を出してきたことで知られている。「放牧」とか「ぶっつけ」の概念やイメージを変えてきたホースマンの代表だ。
また、かつて管理したウオッカもそうだったように、若駒のうちから古馬の強豪と併せ馬をするなどし、体の使い方を覚えさせながら、一流馬の圧力に慣れさせて、強くしていく。サートゥルナーリアの今週の本追い切りも古馬との3頭併せで、そのなかにはGIIを連勝し、天皇賞・春を目指す6歳牡馬シャケトラがいた。
3戦すべてで騎乗していたミルコ・デムーロが、2歳王者のアドマイヤマーズに騎乗するためクリストフ・ルメールに乗り替わるが、何らマイナス材料にならないことは、言わずもがなだろう。
包まれる心配のない6枠12番を引き、態勢は整った。