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本当にこのままでいいのか?
悲しすぎるサンウルブズの除外問題。 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2019/04/10 08:00

本当にこのままでいいのか?悲しすぎるサンウルブズの除外問題。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

サンウルブズが強くなっていく姿をファンは見続けてきた。あと1年、どんな気持ちで見届ければいいのだろうか。

どうしようもなかった、そして沈黙。

 日本ラグビー協会とサンウルブズを経営するジャパンエスアールは、SANZAARの発表を受けて緊急の記者会見を開いた。ジャパンエスアールからは最高責任者である渡瀬裕司氏、協会からは坂本典幸専務理事が出席した。

 会見をめぐる報道を見渡すと、質問とその返答は、ある意味で予想通りだった。サンウルブズの価値は理解しているが、SANZAARから突きつけられた条件はあまりにも厳しく、到底応じられるものではなかった、というのが会見を通じての結論となった。

 どうしようもなかったのか? と誰かが聞くたび、どうしようもなかった、と壇上のふたりのどちらかが答えるしかなかったようだ。

 どうしようもなかった。そして、もう決定は下されてしまった。次に続くのは沈黙しかない。

日本ラグビーに起こった悲しい事態。

 なんと悲しいことだろう。

 前日本代表ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズの助言によって、たとえ当初の目的は日本代表の強化のためだったとはいえ、日本で初めてできたプロラグビーチームは、産声を上げてからたった5年でその命を失うことになった。

 なんと悲しいことだろう。

 サンウルブズは少しずつチームカルチャーを築き始めていたし、サンウルブズが好きだというファンも少しずつ増え始めていた。たとえグラウンドの中でプレーするのが日本代表とは全く関係のない外国人選手でも、その選手が活躍してサンウルブズが勝つならなんの問題もない、と答える新しいラグビーファンが現れ始めていた。

 なんと悲しいことだろう。

 世界のトップレベルのラグビー、それもガチンコの勝負を、東京の青山で見られる機会がいとも簡単に失われてしまった。

【次ページ】 本当に守る気があったのだろうか。

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