球体とリズムBACK NUMBER
FC今治→J1湘南加入の小野田将人。
岡田武史と曹監督の言葉で急成長中。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/06 07:00
数多くの若き才能が台頭した湘南ベルマーレ。小野田将人もその1人として名を連ねることになるか。
カテゴリーは違えど競技は同じ。
翌週に練習グラウンドを訪れると、やはり別の取材を受けていたが、その後にゆっくり話してくれた。
「しっかり準備できていたし、ルヴァンカップにも出場していたので、緊張はなかったです。嬉しさの方が大きくて、ワクワクしていました」
1月にJFLからJ1への挑戦について尋ねたときも、「カテゴリーは違っても、サッカーはサッカー。同じ競技なので」と返答していた。それは小野田の強みだと思う。想像や期待が膨らみすぎると、それは時に緊張に変わり、平静を保てなくなることがあるが、彼にそんな性質はないようだ。
ADVERTISEMENT
「でもデビュー戦は得点できた喜びよりも、マークにつききれずに失点してしまった反省の方が大きかったです。僕は元々ずっと攻撃の選手で、DFはまだ始めて2、3年くらい。最初は嫌だったけど、徐々に楽しくなってきました。
それこそサッカーなので、DFが高い位置でプレーしてはダメというわけでもないですし。特に湘南には互いをカバーする意識が根付いています。僕が躊躇なく上がっていけるのは、湘南やからかもしれません」
DFとしての心構えを叩き直された。
相変わらずほっこりした西日本のイントネーションは心地よく耳に響くけれど、2カ月前とは顔つきが少し違う。クラブ関係者や同僚によると、この間にキャンプや練習で相当鍛えられてきたそうだ。
「DFとしての心構えを叩き直されました。ずっと守備をやっている人からすれば当たり前かもしれないですけど、ポジション取りとかマークのつき方とか、ほんの少しの差が勝負を分けますよね。だから、そこを徹底的に。それは自分が求めていたことなので、湘南に来て本当によかったです」
小野田が今治で過ごした4年間、岡田代表の口からもっとも多く聞かされたのは、「勝負の神様は細部に宿る」という言葉だ。そのディテールとは、戦術やシステムではなく、意識や責任感に関することだという。当時の小野田にはその意味がうまく理解できていなかったが、それがいま、新天地で分かり始めている。