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FC今治→J1湘南加入の小野田将人。
岡田武史と曹監督の言葉で急成長中。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/06 07:00
数多くの若き才能が台頭した湘南ベルマーレ。小野田将人もその1人として名を連ねることになるか。
岡田武史から「愛情の裏返し」。
鮮烈なデビューを遂げた直後、彼は岡田代表から初めてメッセージを受け取った。そこには、祝福と叱咤があった。
「岡田さんからは、J1や代表でやれるポテンシャルがあると言っていただいていて。それは光栄ですけど、足りないものもあるので、目指すところに向けてしっかりやっていけよ、と。愛情の裏返しと捉えています(笑)」
彼が見据えるのは、「小さい頃から大好きだったスペインのリーグ」だ。ペップ・グアルディオラが率いた頃のバルセロナに憧れ、今治時代には同国に短期留学もしている。最近では「ペップを追いかけてしまうので、マンチェスター・シティも」よく観ているという。
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ジェラール・ピケやジョン・ストーンズ、アイメリック・ラポルテら、ペップの薫陶を受けた守備者はタフなディフェンスだけでなく、ボールさばきや攻撃面にも特長がある。水準は別にして、小野田にも似た資質はある。
「湘南に入った時、曹さんから『新しい自分になれ』と言われて。その言葉をよく思い返します。(ローン移籍中の)僕には時間があまりないので、そのプレッシャーはありますけど、今シーズンが終わった時にそうなっていたいです。そしてファンの皆さんに少しでも名前を覚えてもらえたらいいですね」
やっていることは同じです。
第5節清水エスパルス戦にもフル出場し、チームの連勝に貢献した彼に、「ピッチで見える景色も変わってきた?」と新たに訊いてみた。彼らしい返答は次の通り。
「スタジアムによって雰囲気が違ったり、聞こえてくる音も違いますけど、やっていることは同じです。サッカーはどこでやってもサッカーなので」
表情は変わっても、彼の本質的なところは変わらない。春の訪れとともに芽を出し始めた才能が、その武器を携えてどんな歩みを見せてくれるのか。いつかどこか違う場所で「ここでもサッカーはサッカーですよ」と、柔らかいトーンで言ったとしても不思議はない。それがスペインかどうかは、今はわからないけれども。