【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
NBA、NHL視察で見た規格外アリーナ。
そしてファンの成熟が選手を育てる。
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI
posted2019/04/03 07:00
ツアー期間中はNBAのニューヨーク・ニックスやアトランタ・ホークスのホームゲームを観戦し、アリーナなどを視察した。
スタジアム資金調達の斬新な方法。
では、公設民営における主な資金調達はどうしているのか。
球団は金融機関やリーグ機構からのローン、支援などのほかに、クラウドファンディングや寄付もその手段として利用しているようです。
アメリカは寄付に対しての税制免除があるため、資金が集まりやすい側面もあります。スポーツ産業に寄与する税制処置を導入することができれば、日本のスポーツ界もさらに発展していくのではないか、と私は考えています。
また、NBAは10以上の金融機関から大きな信用供与枠を確保しており、その資金力をもって、各球団に貸すことができるという強烈なシステムを構築しています。いかにNBAバリューが凄まじいかを物語っていますよね。
NFLのカロライナ・パンサーズは、スタジアムの資金調達の方法として、PSL(Permanent Seat License)方式を採用したそうです。これはシーズンシートを購入する権利を販売するもので、7万3367席のうち約半数の席を販売し、1億ドルを超える資金調達に成功したといいます。シーズンシートではなく、シーズンシートを購入する権利を販売とは、日本ではなかなか考えがつかないですね。
そのほかにも収益性を大きく向上させるプレミアシートの設定や株式公開など、資金を調達するありとあらゆる方法が確立されていました。
半数の人が会場でITサービスいらず?
意外だったことは、現在、スポーツビジネスにおいては「テクノロジー」とよく叫ばれていますが、アメリカで観客がどんなテクノロジーを求めているのか調査をしたところ、実に50%の人が球場で求めるITサービスは「ない」と答えていたようです。
要は試合が見られて楽しめればいいというわけです。テクノロジー最先端のアメリカの人たちでさえ、実は競技の本質的な部分を楽しみにしている。
だからこそ、「テクノロジーに振れすぎてしまうと過大投資になってしまうので、そこは注意したほうがいい」という話は非常に印象的でした。