【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
NBA、NHL視察で見た規格外アリーナ。
そしてファンの成熟が選手を育てる。
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI
posted2019/04/03 07:00
ツアー期間中はNBAのニューヨーク・ニックスやアトランタ・ホークスのホームゲームを観戦し、アリーナなどを視察した。
強気なチケット価格設定の理由。
現在、ジェッツのホームゲームでは、毎試合平均5000人前後を動員し、客席はいっぱいに埋まっています。それは、おおよそ1万人程度見たいという潜在的に興味を持っている方々がいた上で、実際は5000人埋まっているというイメージ。おそらく、NBAは少なくとも数十万人程度試合を見たいという人がいて、実際に約2万人のアリーナがあるというイメージでしょう。
そもそも、相対的に(NBAは)球団側は特定の人に見に来てもらうというスタンスではなく、数十万の方々がかわるがわる観戦に来てくれればという考え方だと私は見ています。だからこそ、値段も強気に設定している。
毎回来る方の方が少なくて、年に1度でもいいという人が何十万人もいる状況があるからこそ、チケット代が高くても成り立っているのでしょう。そういった意味で、あらためて日本はまだまだ裾野が狭いと痛感せずにはいられませんでした。
行政が負担してでも球団が欲しい。
今回の視察はどうすれば日本に魅力的で多様性のあるアリーナを作ることができるか、学ぶことがメインでした。TMBOの方々の話を通じて興味深いと感じたことがいくつかあります。
まず、アメリカのスポーツ施設の保有や運営形態です。
民間が作っているのか行政が作るのか、それともハイブリッドなのか。MLBは半数以上のスタジアムが公的資金で作られています。それは行政が“誘致したい”と強く希望しているからです。NBAは行政がアリーナを作り、球団が運営を委託して受ける公設民営と、民間企業が作って運営する民設民営も意外と多いのです。
MLB、NFL、NBA、NHL、MLS全体では、71%の施設が公的組織によって保有されている。つまり、スポーツチームがその地にあることで経済効果や人口増をもたらすことで地域に存在する価値があるからこそ、行政が負担してでも地元球団が欲しいと思っている状況があるということを示している。
だからこそ、球団は強気。そのあたりが決定的に日本とは異なるところだなと感じました。