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安西幸輝に昌子源が「羨ましい」。
代表デビューで得たのは成長の種。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2019/03/28 11:15

安西幸輝に昌子源が「羨ましい」。代表デビューで得たのは成長の種。<Number Web> photograph by AFLO

代表のサイドバックは、右の酒井宏樹、左の長友佑都をのぞけば横一線。安西幸輝は鹿島の伝統に名を連ねられるか。

「代表やW杯は見るものだと思ってました」

「サッカーという競技は同じでも、代表やW杯は正直見るものだと思っていました。でもクラブW杯を経験して、このレベルで戦い続けたいなと思いました。(昌子)源くんだったり、(内田)篤人くんだったりは、これを普通に戦っている。だから僕もそんなふうに普通にしていきたい。

 鹿島へ来て伸びたという手ごたえはもちろんある。でもレアルとリーベルと、この2戦は、サッカー人生のなかでも一番つらかった。そのの衝撃は、サッカーをやってきて一番大きかった。まだまだ上があるということに気づけたので、自分が成長していく姿を見据えないといけない。そういうサッカー選手としての覚悟が必要だなと感じました。

 僕のプロのキャリアは、2部からスタートしてここまで来た。もっと早く来たかったなっていうのが本音だし、でも今気づけたということは、ここからのサッカー人生をプラスに変えることは絶対できる。変えなくちゃいけない」

 クラブW杯3位決定戦後、止まらない想いを口にした安西は「休んでいる暇はない」と笑った。

「もちろん身体を休めることもサッカー選手として大事なんだけど、24時間サッカーのことを考えていたい。目の前の1試合、練習でのワンプレーとか、1日1日がどれだけ大切かっていうのを改めて確認させられました」

昌子「幸輝のことは羨ましい」

 国内、アジア、そして世界……。その選手が立つステージが、能力を示す「レベル」と説明されることがある。いきなりワールドクラスと称される選手もいるが、たいていの選手は、徐々に成長しながら立つべき舞台を変えていく。

 そのために必要なのは「高いレベル」を体感することであり、見ることなのかもしれない。しかし、たとえば世界レベルの本気を知るチャンスは限られている。

 鹿島の先輩であり、代表初招集から試合に出るまでに3年近くかかった昌子源は安西の境遇についてこう話す。

「やっぱり、監督が『全員使おう』となり、試合に出た(安西)幸輝のことは羨ましい。僕の場合は、アジアカップのアギーレさんもハリルホジッチさんもDFを固定していたし、麻也くんや森重さんが鉄板という感じだった。それに、僕自身もそういう状況に甘えていた部分もあった。

 試合に出られない時間も無駄ではなかったけれど、『どうせ出られない』『一応選ばれているし』というような気持ちもあったから。試合に出るためのアプローチという意味ではもっとできることがあったと思う。やっぱり、26歳で初キャップよりも幸輝の年齢で試合に出て、危機感を味わえるのは大きいと思います」

【次ページ】 安西が手にしたのは、成長のチャンス。

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