沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER

高松宮記念も「強い4歳」が制覇。
福永祐一は天国の相棒に最高の報告。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph byYuji Takahashi

posted2019/03/25 16:00

高松宮記念も「強い4歳」が制覇。福永祐一は天国の相棒に最高の報告。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

スプリント王に輝いたミスターメロディ。騎乗した福永は今後の成長にも期待を寄せる。

福永とキングヘイローの記憶。

 今年の4歳世代はハイレベルと言われているが、本当に、あらゆるカテゴリーにおいて強い馬が現れている。

 かつて福永が主戦騎手をつとめたキングヘイローも2000年の高松宮記念を勝っている。それが唯一のGI勝利となったのだが、鞍上は、福永ではなく柴田善臣だった。福永は、2着のディヴァインライトに乗っていた。

 その3年前の'97年、秋の東京スポーツ杯3歳ステークス(馬齢は旧表記)で、デビュー2年目の福永はキングヘイローの背で重賞初勝利を挙げた。

 翌'98年のクラシックでの飛躍が期待されたが、しかし、皐月賞2着、ダービー14着、菊花賞5着と結果を出せずに終わった。特に、2番人気に支持されながら、掛かり気味にハナ切って失速したダービーでは、「初めて緊張に呑み込まれる経験をした」という。

天国の名馬に、最高の報告。

 感謝の思いと申し訳なさの両方を抱いていたというキングヘイローの背で勝利と敗戦を経験したからこそ今の福永がある。天国の名馬に、最高の報告をすることができた。

 同期の和田竜二も、昨年の宝塚記念をミッキーロケットで勝ったことで、同年5月に急逝したテイエムオペラオーに、さらに成長した自身の姿を見せることができた。

 もちろん、ミスターメロディ自身の強さと、それを引き出した福永の技術、そしてここまで仕上げた陣営の努力があっての勝利ではあるのだが、名馬の不思議な力添えを感じさせた、ドラマチックな一戦であった。

BACK 1 2 3
ミスターメロディ
福永祐一
キングヘイロー

競馬の前後の記事

ページトップ