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高松宮記念も「強い4歳」が制覇。
福永祐一は天国の相棒に最高の報告。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/03/25 16:00
スプリント王に輝いたミスターメロディ。騎乗した福永は今後の成長にも期待を寄せる。
すべての展開が好都合に運んだ。
武豊のモズスーパーフレアが先頭で直線に入った。
その外に、2年前の覇者セイウンコウセイが並びかけた。
「直線では内を突こうと思っていた。いいタイミングでスペースができた。慌てず、自分のタイミングで追い出しました」
そう振り返る福永が狙っていたのは、モズスーパーフレアとセイウンコウセイの間のスペースだった。
馬群の壁というのは、あまり早く開きすぎても、そこに入るために脚を使わなければならないので、都合が悪い。かといって、いつまでも開かないのは、もっと困る。
スパートをかけるのにちょうどいいタイミングで開いてくれるといいのだが、ミスターメロディの前のスペースは、ラスト400mを切った、本当にちょうどいいところで綺麗に開いた。
それに対し、最大のライバルと思われたダノンスマッシュは、4コーナーから直線入口にかけて、併せた馬に張り出される格好になるロスがあった。
すべてが福永とミスターメロディにとって好都合に運んだ。
「GIを勝ったのはセンスの良さ」
ミスターメロディは、福永の右ステッキを受けて末脚を伸ばした。ラスト100mあたりで体半分ほど前に出て、外のセイウンコウセイと内のショウナンアンセムの急追を振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
勝ちタイムは1分7秒3。2着セイウンコウセイとの差は半馬身だったが、着差以上の完勝。 昨年のファルコンステークスにつづく重賞2勝目が、嬉しいGI初制覇となった。
「GIを勝ったのは、この馬のセンスのよさだと思う。ダートも走るし、今後、いろいろな選択肢がありますね」
福永の笑顔が弾けた。