話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
遠藤保仁「左サイドに偏っても」
宮本恒靖監督とガンバの模索は続く。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/18 17:30
開幕戦からの悪い流れを断ち切った川崎戦。苦しみながらも、“我慢”した宮本采配が的中した。
倉田と高のボランチ起用。
宮本監督は現役時代から、こうした修正のアクションを起こすのが上手い。代表でキャプテンを務めた頃も守備が機能しないとみるや「球際」というキーワードを使い、それを徹底させることで守備の引き締めに成功したことがあった。
代表では時間が限られているため、限られた修正案でやりくりした印象だった。しかし監督として川崎戦に臨むにあたって、大胆に変えてきた。
分かりやすいのがボランチの配置と守備の仕方だ。長年ダブルボランチを務めた遠藤と今野泰幸の場合、主に横にスライドさせる守備で対応していた。一方で倉田と高のコンビを組ませたこの試合では、前でボールにアプローチをかけて奪い取る、あるいは押し返す積極的な守備を狙った。そこで奪い取ったボールを遠藤に預けて、攻撃を仕掛ける。
このスタイルで松本戦は複数点を奪い、1失点に抑えた。
宮本監督も手応えを感じたようで「このメンバーのパフォーマンスの印象がよかったので、(川崎戦も)このメンバーでいった」と語っている。
宮本監督が徹底させたこと。
川崎戦に向けての準備はさらに進んでいた。
宮本監督が口を酸っぱくして言い続けている「ファーストディフェンス」。そしてコンタクトの強さを見せること。このふたつをチーム内に徹底させた。
それが選手の意識にしっかりと浸透している様子は、川崎戦の序盤から見て取れた。倉田たちは相手に素早く寄せ、厳しくチャージを仕掛けた。その勢いに押されたせいもあてか、川崎の中盤はミスが増えて、なかなか攻撃にリズムをつくれなかった。
一方で攻撃は過去3試合のリーグ戦と異なり、なかなかチャンスをつくれなかった。しかしファン・ウィジョとアデミウソンの2人はゴールに向かう姿勢を見せていた。宮本監督が昨年から重視していた「縦への早い攻撃」を具現化する役割を果たしたと言えるだろう。