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真剣にサッカーをする大人が減少中?
仕事を犠牲にしない道は可能なのか。
posted2019/03/18 08:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
すっかり陽の落ちた公園に、サッカーボールがひっそりと弾んでいた。街灯の薄明かりの下で、3人の大人が白い息を吐いている。
子ども用の遊具がどっしりとした存在感を放つこの公園は、東京都新宿区にある。赤く大きな文字を使った「球技禁止」の看板が、入り口や敷地内に掲示されている。
都内でサッカーをやるのは、かなりハードルが高い。フルコートが確保できるグラウンドは少なく、そのほとんどは公共施設だ。月に1度か2度の抽選で幸運に恵まれなければ、使うことはできない。練習も試合もできないわけだ。
社会人はそもそも制約が多い。仕事を終えてからスポーツをするとなると、場所と時間がさらに高いハードルとなって立ちふさがる。気軽に身体を動かせる公園は便利で、球技が禁止されていることを知りながらボールを蹴る、という人はいる気がする。僕が見かけた3人組も、声を掛け合うことなくボールを蹴り続けていた。「ゴメンナサイ」の気持ちが、彼らの背中には滲んでいた。
真剣勝負をする社会人が減っている。
日本サッカー協会の資料によると、第1種の登録人数は2004年から減少傾向にある。年齢制限のないチームの選手が1種登録で、Jリーガーや高校を卒業した社会人のカテゴリーだ。
草サッカーをしているだけなら、わざわざ選手登録をしなくてもいい。それを踏まえて言えば、登録人数の推移は真剣勝負の大会に出場する社会人選手が減っているから、と考えられる。40歳以上はシニア登録になるので、高校を卒業後も真剣にサッカーを続ける20代と30代が、ボリュームダウンしているのだ。
将来的なJリーグ入りを目ざすクラブが、全国的に増えている。カテゴリーとしてJ4に相当する日本フットボールリーグ(JFL)から関東サッカーリーグや東京都リーグまでに、Jリーグ参入のビジョンを描くクラブを見つけることができる。
そうしたクラブの選手たちは、ほとんどがアマチュアだ。仕事と両立をしながら、サッカーを続けている。